('、`*川もっとも邪悪な女のようです
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 21:59:33.58 ID:DdNda8wM0
−いきなり後編から読みたがる奇特な人がもしいた場合のあらすじ−

ポッツヴィルは生徒数だけでも1300近い巨大な学園都市。
女生徒ペニサスはここで生徒同士のいさかいの仲裁役である風紀委員をしている。
ある日、彼女はイイ仲であるデレを独り占めにせんがため、彼女の男モララーを事故死に見せかけて殺す。
ツンは親友(だと思っている)デレの事を案じるが……


('、`*川
ポッツヴィル学園都市の風紀委員。
天然を装っているが心底邪悪な女。生粋の同性愛者。

ξ゚听)ξ
ペニサスを(性的な意味でも罠的な意味でも)ハメて無理矢理恋人にした悪女で、最低の性格。
デレのことを親友だと思っている。

(゚q 。川
池沼。ツンの妹で溺愛されている。
美少女の部屋や入浴を覗く悪癖がある。

ζ(゚ー゚*ζ
とってもいい女。モララーの恋人だったが、実は両性愛者でペニサスにメロメロ。
ツンとは親友同士のふりをしているが、本当は嫌っている。

川 ゚ -゚)
旧華族の血を引くお嬢様。
ペニサスと恋人になる予定だったが、ツンの策略により御破算に。
以後ペニサスを憎むように。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:01:49.48 ID:DdNda8wM0
1.
放課後のこと。

今日も一日立派に学業を終えたわたしは部屋に戻り、ベッドに座って漫画を眺めていた。


('、`*川「あさぎ姉ちゃんって絶対レズだよねー。

    こいつはくせえッー百合以下のにおいがプンプンするぜ」

ξ;゚听)ξ「あんたの『絶対』の根拠っていったい何よ……」

(゚q 。川「あばばwwwペニサスwwwバカwww」

('、`*川(何でこいつら、わたしの部屋に集まってくるんだろ)


モララーくんがいなくなって24時間経つけど、まだ見つかったって報告はない。





も っ と も 邪 悪 な 女 の よ う で す 後編

(原作 ジム・トンプソン『ポップ1280』)



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:04:12.77 ID:DdNda8wM0
2.
雨降ってるしモララーくん、もう腐り始めてるだろうなあ。

うわあイヤだなあ。

そんなことをぼんやり考えていると、テレビを見ていたツンが不意に言った。


ξ゚听)ξ「ねえペニサス、モララーのやつ何とか出来ないの?」

('、`*川「へ? 何とかって?」

ξ゚听)ξ「あいつがデレちゃんにひどいことしてるの知ってるでしょ!! もう、ボケなんだから。

     あんた風紀委員なんでしょ!?」

('、`*川「民事不介入でございます」

ξ#゚听)ξ「ありゃもう痴話ゲンカってレベルじゃないわよ!

     デレちゃんいつも殴られてんのよ、かわいそうに」

('、`*川「んー……」


わたしが心底めんどくさそうな顔をしていると、ツンはとうとうキレた。

とうとうって言ってもまあ、ツンはいつでもすぐキレるんだけどね。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:06:11.49 ID:DdNda8wM0
3.
ξ#゚听)ξ「あんた今からデレちゃんとこ行きなさい!!

     そんでモララーの奴が帰ってきたら今度こそ……」

('、`*川「待って、待ってよぉ。そんなこと出来ないって」


わたしは漫画を閉じてイヤそうな顔をした。


('、`*川「あのね、モララーくんはもう普段の倍くらいの時間留守にしてるわけじゃない。

    ってことは普段の倍は酒かシンナーかそのへんのもんを食らってるわけ。

    きっと帰ってくる頃には狂犬みたいになってるよ、わたしに止められるわけないって」

ξ#゚听)ξ「臆病者! 意気地無し!」

('、`*川「そういう問題じゃないの。

    わたしなんかがデレちゃんと一緒にいたらモララーくん激怒するに決まってるでしょ。

   『風紀委員なんかに言いつけやがって!』って」

ξ゚听)ξ「う、う〜ん……」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:08:29.88 ID:DdNda8wM0
4.
('、`*川「そりゃその場でモララーくんに説教したりはできるさ。

    でもわたしが帰ったあとにデレちゃん、殴り殺されるかも」


ツンはわざとらしくため息をついた。


ξ゚听)ξ「もう、情けない。あんたってほんとダメな奴よね!

     カタワーちゃんの方がずっと頼りになるわ。ねえ?」

(゚q 。川「おぎゃーwwwwぱしろへんたすwwww」


カタワーは相変わらずわたしの冷蔵庫から勝手にいろいろ取り出して食べている。

奴はわたしが大事に取っておいた生チョコのカスを口からまき散らしながら大笑いした。


(゚q 。川「あうあうあーwwwwペニサスはwwwww臆病者wwwww情けねぇwwww」

('、`*川

(゚q 。川「!?」



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:10:00.78 ID:DdNda8wM0
5.
池沼は突然すくみあがり、ツンの後ろに隠れた。


ξ゚听)ξ「なーに、どうしたの?」

((((゚q 。;川)))「あわわわわ……」

('、`;川(ん!? いかんいかん)


思わず素の表情を見せてしまった。

わたしはあわてて両手を顔面に当てて擦り、いつものふにゃらけた顔に戻した。


ξ#゚听)ξ「ちょっとペニサス! あんた今カタワーちゃんに何かしたでしょ!」

('、`*川「何かって何さ」

ξ゚听)ξ「おーよしよし、大丈夫よカタワーちゃん。

     わたしがついてるからねー」

((((゚q 。;川)))




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:11:07.22 ID:DdNda8wM0
6.
夕食時になってそろそろ食堂に降りようかという時、客が来た。

件のデレだ。


ξ゚听)ξ「んまーんまーデレちゃん!!」

ζ(゚ー゚*ζ「こんばんわ、ツン」


二人は親しげに抱き合った。

ま、デレは本当は嫌がってんのはわかったけど。


ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスもこんばんわ」

('、`*川「どーも」

ζ(゚ー゚*ζ「カタワーちゃんもこんばんわ。今日もかわいいわね」

(゚q 。川「あばばwwww」

ξ゚听)ξ「モララーくん、まだ帰って来ないの?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん……」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:13:14.15 ID:DdNda8wM0
7.
わたしたちは食堂に降り、四人で食卓を囲んだ。

わたしは出来る限りデレには興味がないふりをして、ほぼ無言で食事を摂った。


ξ゚听)ξ「んーと、デレちゃんには悪いかも知れないけど、言わせてもらうとその……」

ζ(゚ー゚*ζ「なあに? 何でも言って。わたしとあなたの仲でしょう」

ξ゚听)ξ「モララーくんのことだけど」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚听)ξ「あんまりいい人だと思えないな」

ζ(゚ー゚*ζ「わたしも別れたいんだけど、向こうがね……どうしても」

ξ゚听)ξ「もうペニサス、あんた食ってばっかいないで何かいい方法を考えてよ!」

('、`*川「え?」


やたら油っぽいとんかつを口に詰め込んでいたわたしは、呆けたような顔をした。


('、`*川「そう言われてもねー。んー、何か護身用のグッズを買ったら?」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:16:11.49 ID:DdNda8wM0
8.
ξ゚听)ξ「そ れ よ !」

ζ(゚ー゚*ζ「え……?」

ξ゚听)ξ「モララーくんが帰って来てもそれがあれば心強いじゃない。

     スタンガンとか催涙スプレーとかさ。ペニサスにしては最高のアイデア!」

('、`*川「そりゃどーも」

ζ(゚ー゚*ζ「で、でもデレ、そんなの怖くて使えない……」

('、`*川「持ってるだけでも大分気が楽になるんじゃないかな」

ξ゚听)ξ「風紀委員のルートなら手に入るわよね、ペニサス?」

('、`*川「まあね。風紀の備品って事にすれば勘定も心配ないし」


わたしはデレにウインクして話を合わせろとジェスチャーした。

デレはわたしにしかわからないようにかすかに頷く。


ζ(゚ー゚*ζ「そ、そうね、それじゃあお願いできる?」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:18:27.62 ID:DdNda8wM0
9.
食後、デレのことはツンに任せ、わたしは寮にある小さな図書館に向かった。

風紀委員の事務仕事がちょっと残ってたから片付けちゃおうってわけ。


('、`*川(それにしても変な流れになっちゃったなあ。

    なーんでまたわたしはデレにスタンガンなんか買わせなきゃいかんのよ)


ボールペンを口に咥え、腕組みして椅子の背もたれにのけ反る。

書類の横に置かれたココアから湯気を上がるのを眺めながら、わたしは考えを巡らせた。

デレにスタンガンか。

デレにスタンガン……いんじゃない、これ?

うんうん、いいよね。いい。


('、`*川(この方法なら……お?)


不意に窓の外を見遣ると、闇夜に池沼の姿があった。

あいつだけはどんなに暗くてもよくわかる。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:20:20.07 ID:DdNda8wM0
10.
(゚q 。川 )))


池沼は多分気配を忍ばせて歩いているつもりなんだろうけど、まるでコントの泥棒歩きだ。

多分別の女子寮へ覗きにも行くんだろう。

それにしてもよくわからん。

あいつも一応女子なわけだから風呂とか他の女子と一緒に入れるし、覗く必要はない筈なんだけど……

やっぱ性癖なのかな。

「覗き」って状況じゃないと興奮しないという。


('、`*川(池沼の性癖に思いを馳せるわたくし。知的だわー)


二時間ほどして仕事も大分片付いた頃、デレが図書館にやって来た。


ζ(゚ー゚*ζ「お疲れ様」

('、`*川「ん。ツンは?」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたに差し入れするって言って抜け出してきたの」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:22:12.15 ID:DdNda8wM0
11.
デレはわたしの隣の席に腰を下ろした。

図書館に他に人はいなかったので、わたしたちはくだけた話をした。


ζ(゚ー゚*ζ「もう、うんざりするわー。ツンってほんと頭悪いわねぇ。あいつも池沼でしょ」

('、`*川(うわっ、口悪っ)

ζ(゚ー゚*ζ「ツンに合わせるのほんと疲れるのよ。

     こっちの知能レベルを下げなきゃなんないんだからぁ」

('、`*川「それよりスタンガンのことだけど、ごめんねえ。

    でもモララーくんのアレもアレなわけだし、持っといてくんない?」

ζ(゚ー゚*ζ「何でもあなたの言う通りにするわ。でもえっちなことに使うのはやめてね」

('、`;川「電流プレイ!? さすがにそんなハードSMは経験ないなあ……」

ζ(゚ー゚*ζ「でもぉ、体に電流が走るようなのならしてみたぁい……」


デレが体を擦り寄せて来た。

こりゃあいかん。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:24:27.33 ID:DdNda8wM0
12.
ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、何で今夜ここに来たかわかるでしょぉ……」


瞳が貪欲に潤んでる。

わたしは理性がどうにかなりそうになるのを堪えて、彼女の火照った体を押し返した。


('、`*川「今はダーメ」

ζ(゚ー゚*ζ「ちぇー。連れないんだからぁ」

('、`*川「んーと、泊まってくんでしょ。ツンが寝たらお風呂場でしちゃう?」

ζ(゚ー゚*ζ「待ちきれなぁい」

('、`*川「ほら、早く戻らないと怪しまれるって」


デレを図書館から追い払ったわたしは首を振った。

手元の電子辞書を開き、和英である単語を引く。

「Prurience」または「Lechery」か。覚えとこう。




21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:26:22.59 ID:DdNda8wM0
13.
仕事に戻ろうとした時、たった今出てったばかりのデレが舞い戻って来た。


ζ(゚ー゚*ζ「ペニサス、大変!」

('、`*川「あんたの股間はいつでも大変でしょ。洪水? それとも床上浸水?」


この大規模災害マンコ。

内心でデレのしつこさに悪態をついてみたけど、どうも様子がおかしい。


ζ(゚ー゚*ζ「そうじゃないのよぉ、何かツンとクーがモメてんのよ」

('、`*川「クー?! クーが来てんの?」

ζ(゚ー゚*ζ「そぉ。ちしょ……じゃなかったカタワーちゃんが何かしたみたい」

('、`*川(修羅場の予感!)


書類を放り出したわたしは図書館から飛び出し、階段を駆け上がった。

ツンの部屋の前ではデレの言った通りの三人が何か言い合いをしていて、それを遠巻きに野次馬、

っていうか寮生が囲んでいる。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:28:58.22 ID:DdNda8wM0
14.
从'ー'从「あれれ〜? 何か喧嘩してるよぉ〜」

l从・∀・ノ!リ人「あれは痴話喧嘩に間違いないのじゃー」

lw´‐ _‐ノv「米よ! 米を食わせればたちどころに納まる」

('、`*川「はいはい何でもないからね、自分の部屋に戻っててね」


とりあえず彼女らを追っ払ってから、わたしは問題の渦中へ向かった。


川#゚ -゚)「躾をする気がないならその池沼に首輪を付けて繋いどけ!」

ξ#゚听)ξ「あんたカタワーちゃんに何て事言うのよ!!」

(;q 。川「ぶひいいいwwwwぶひいいwwwww」

川#゚ -゚)「これで三度目だ! ペットの責任は飼い主が取れ!!」


思いっ切り腰が引けながら、わたしはおずおずと三人の中へ割って入った。

うわあ怖い。


('、`*川「なななな何があったんでしょう……か……?」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:30:17.74 ID:DdNda8wM0
15.
三人の視線がこっちに集まる。

ひいい、わたしは貝になりたい。


川 ゚ -゚)「カタワーがまたわたしの部屋を覗いてたんだ」

('、`*川「ははあ、なるほど」

川#゚ -゚)「なんだって?」

('、`;川「あ……いいえ、その、憂慮すべき事態ですね」

ξ#゚听)ξ「この女追い出してよ、ペニサス!!」

('、`;川「え、えーと、えーとですね」

川#゚ -゚)「追い出すべきはそこの池沼じゃないのか、何で野放しになってるんだ」

ξ#゚听)ξ「池沼って言うんじゃないわよ!!」

(;q 。川「おぎゃーwwwwおぎゃーwwww」

(;、;*川(誰か助けてえええ!!)


今日まで不信心だったこと謝ります、だから神様助けてええええ!!

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:32:48.22 ID:DdNda8wM0
16.
わたしは助けを求めてデレの方を見たが、デレは首を竦めて顔を左右に振った。

というか彼女はツンが窮地に立たされているのを腹の中で笑ってんだろうな。

確かにこりゃあツンの方が分が悪い。


('、`*川「落ち着いてよ、落ち着いてったら!!」


掴みかからんばかりの二人を引き剥がし、わたしは頭をフル回転させた。

ここはやっぱりクーに味方すべきだ。

わたしは彼女を庇うように背を預け、ツンを指差した。


('、`*川「ツン、あんたが悪い!」

ξ;゚听)ξ「!!」


普段ものごとを何でも曖昧に言うわたしが断言したので、ツンは呆気に取られた。


('、`*川「カタワーの悪癖についてはどうにかするように何度も言ったじゃんか!」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:35:11.67 ID:DdNda8wM0
17.
('、`*川「でもあんたは何にもしなかった。

    ここに陪審員が10人いたら10人ともわたしと同じことを言うと思う!」

ζ(゚ー゚*ζ「いやーん、ペニサスかっこいー」

ξ#゚听)ξ「うぐ、うぐぐぐ……」

l从・∀・ノ!リ人「そーだそーだ、そーなのじゃー」

lw´‐ _‐ノv「これはペニサスが正しいかな」

从'ー'从「ですよね〜」


一応はわたしに追い立てられて部屋に引っ込む素振りを見せたものの、ドアから身を乗り出して

事の成り行きを見ていた寮生たちが同意した。

ツンは今にも噴火しそうな顔で歯ぎしりしながらわたしを見ている。


ξ ゚听)ξ「ペ……ペニサス、あんた……覚えてなさいよ……」


ツンはカタワーを連れて自分の部屋に飛び込み、力いっぱいドアを閉じた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:37:37.92 ID:DdNda8wM0
18.
('、`*川「ごめんねクー、あいつはああ言う性格だからね」

川 ゚ -゚)「まあいいだろう。こっちもちょっとアツくなりすぎたかな」

('、`*川「ごめーんデレ、ツンを慰めてやってくんない? あいつがわたしの言うこと聞くわけないだろうし」

ζ(゚−゚*ζ「え〜……」


心底イヤそうな顔をするデレ。

まあそうだろうけど。


川 ゚ -゚)「じゃ、帰る」


クーは階段の方へ向かった。

わたしはちょっと迷うような素振りをした後、ツンの部屋のドアの前でグズグズしているデレへ

駆け寄って耳打ちした。


('、`*川「ごめん、クーを送ってくる」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇ!? 何よそれ!」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:39:57.00 ID:DdNda8wM0
19.
('、`*川「教育委員会か教員か、とにかくマズイとこにカタワーのことを報告されると困るんだよぉ。

    何かしらわたしが責任を問われる事になったら風紀委員でいられなくなっちゃう」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

('、`*川「そのことクーにお願いしてくるから。ねっ、ほんとゴメン」

ζ(゚ー゚*ζ「いいわ」

('、`*川「ありがとぉ、デレちゃん大好き」


片目を閉じて両手を合わせ、ゴメンネのポーズをしてからわたしはクーを追った。

ところが彼女は寮の入り口んとこで待っていた。

ひょっとしてわたしを?


川 ゚ -゚)「送ってくれるんだろ?」

('、`*川「ま、まぁね」

川 ゚ -゚)「じゃ、行こうか」



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:42:10.17 ID:DdNda8wM0
20.
この晩は霧が出ていて、街はおぼろに陰っていた。

月と街灯が擦れた風景の中でぼんやりと光っている。

まるで暗闇で光る蛾があちこちで羽を休めているみたい。


('、`*川

川 ゚ -゚)


わたしとクーは無言で人気のない道を歩いた。

彼女の方を見ていたわたしは、彼女と一緒にいる時しか得られない不思議な感情に満ちていた。

胸の中の鼓動を打つ機械に、どうしても必要だったたった一つのパーツがかっちりはまった気分。

そりゃあクーはデレほどいい女じゃあない。

それにデレほどの肉体や性的な寛容さも持ち合わせちゃいない。

でも……なんだろ。

クーといることは、わたしにとって引き裂かれたもう一人の自分と一緒にいるのと同じ。

つくづくどうしても、わたしの人生にはこの人が必要なんだ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:44:34.04 ID:DdNda8wM0
21.
何故クーがいるのにわたしはデレなんかに溺れていたんだろう。


(う、;*川

川 ゚ -゚)「泣いてるのか……?」

('、`*川「う、ううん。そんなことないよ」

川 ゚ -゚)「さっき、嬉しかった」

('、`*川「さっきって?」

川 ゚ -゚)「わたしの味方してくれただろ? 言い合いしてる時。ありがと」

(///*川「いやあ……そんな」

川 ゚ -゚)「話してくれないか」

('、`*川「え?」

川 ゚ -゚)「話したいことがあったんだろ? ずっと」

('、`*川「う、うん! うん! ほんとあるの、いっぱい!」


わたしはツンにハメられたあらましをぶちまけた。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:46:23.61 ID:DdNda8wM0
22.
川 ゚ -゚)「なるほどね。つくづく最低の女だな」

('、`*川「ほんとにねー。って信じてくれるの!?」

川 ゚ -゚)「まああの女のことだからな。それで、デレのことは?」

('、`;川「うっ!」


し、知ってたのか……わたしとデレの関係。

でもクーは冷静で、わたしを咎めるようなことは言わなかった。


川 ゚ -゚)「いいよ。寂しかったんだろ?」

('、`*川「え、え〜と……」


そうだったかなあ。別にそうでもなかったような……

まあいいか、そういうことにしとこう。


('、`*川「う、うん」

川 ゚ -゚)「……ペニサス、わたしとやり直したいか?」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:48:20.47 ID:DdNda8wM0
23.
('、`;川「えぇ!? わたしのこと許してくれるの?!」

川 ゚ -゚) ))


クーは頷いた。


('、`*川「ヒャッホーイ! クリスマスみたーい!!」

川 ゚ -゚)「ただし!」

('、`*川「へ?」

川 ゚ -゚)「きっぱり手を切れ。他の全部の女とだ」

('、`*川「それってつまり、ツンとデレ?」

川 ゚ -゚)「まだいるのか?」

('、`;川「い、いません」

川 ゚ -゚)「すっぱりさっぱり綺麗になってからわたしのところに来て」

('、`*川「は、はい……」

川 ゚ -゚)「見送りはここまででいい。じゃあまた」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:50:02.79 ID:DdNda8wM0
24.
わたしたちは最後に一度抱き合って口付けを交わした。

クーの暖かい唇の感触。

触れ合った部分でわたしたちはお互いの熱を共有した。

霧の中へ消えてゆくクーを呆然と見送りながら、わたしはある決心をした。


('、`*川(やるしかない)


わたしは何事も現状維持、下手に物事を変えるとロクなことにならないって言う事なかれ主義の

信奉者だったけど、今日から変わらなきゃ!

抱えてる問題をこれを機に一掃する!

人生の大掃除だ。


('、`*川「良し!」


だけど気合いを入れて寮へ駆け戻ってくうちに、わたしの心はどんどん萎えてきた。

……いったいどうやってツン・デレの二人と手を切るの?

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:53:12.91 ID:DdNda8wM0
25.
悲しんでようが怒り狂ってようが、まったく関係なしに日は昇って落ちる。

数日後、わたしの部屋に届け物があった。


('、`*川「お、来たか」


包みを破るとスタンガンが二つ出てきた。

これはスタン警棒と言うタイプで、ぶん殴っても使える強力なやつ。

しかし何で二つ入ってるのやら。


('、`*川「……ん??」


納品書を見ても確かに二つになっている。

……あちゃー。


('、`;川「ま、間違えたっ!? あーあ、どうしよー。返品不可って書いてあったしなあ……」


……まあいいか。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:55:13.38 ID:DdNda8wM0
26.
わたしはツンの部屋に行った。


('、`*川「ちわっす」

ξ#゚听)ξ「ペッ! 何の用よ、この害虫」

(゚q 。川「なwwにwwしwwにww来wwたwwんwwだwwよwwwww」


クーに味方した日からツンはわたしに冷たい。

いやそれは普段からか。

だからまあ、何て言うか……あれ、これじゃいつも通りじゃんか。

ツンがわたしに優しかったことなんかあったっけ?


('、`*川「この前はほんとゴメンねー。あの場はああするしかなかったんだって!」

ξ ゚听)ξ「フン。何へりくだってんのよ、キモイ」

(゚q 。川「キモイwwキモイwwwペニサスはwwwキモイwwww」

('、`*川(お前が言うな)


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:57:00.72 ID:DdNda8wM0
27.
('、`*川「今日はねえ、仲直りのプレゼントを持ってきました! ズギャーン!!」


わたしは後ろに隠しておいたスタン警棒を見せた。


('、`*川「痴漢撃退に大活躍! 更にこれがあればあんたの好きなデレちゃんとお揃い!」

ξ ゚听)ξ「ふーん」

('、`*川「これあげるからね、機嫌直してよぉ」


ツンは雑誌を放り出してベッドから起き上がり、警棒を引ったくった。

それから警棒の先端をわたしの喉の下に押し付けた。


ξ ゚听)ξ「スイッチオーン」

('、`;川「ギャ――――!!!」

ξ ゚听)ξ「ウソよ」

('、`*川「そ、そう。やめてよね冗談でも。それすっごく強力なんだから!

    アメリカ人でも一撃で昏倒しちゃうんだからね」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 22:59:11.53 ID:DdNda8wM0
28.
ξ ゚听)ξ「いいわ、もらっといてあげる」

('、`*川「おk」


案の定ツンは受け取った。

多分今度わたしが意に沿わないことをしたらこれでビリビリさせようとか考えてるんだろう。


('、`;川「……失敗だったかなあ。キチガイに刃物だよ」


わたしは暗澹たる気分で部屋に戻った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


さて翌日、とうとうモララーくんが発見された。

そう、死んでたから「居た」じゃなくって「発見された」。

テキトーに現場検証してわたしとデレと彼の悪友がちょこっと事情聴取されて、それでおしまい。

なんとまあおざなりな。


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:04:15.63 ID:DdNda8wM0
29.
('、`*川「事故死に間違いないでしょう、だってさ」

ζ(゚ー゚*ζ「でもドキドキしたわー」


放課後の帰り道で警察に呼び止められてそのまま交番で尋問されたわたしとデレは、一緒に

帰り道を歩いてた。


ζ(゚ー゚*ζ「確認の時笑いを堪えるの大変だったんだから。

     死ぬと人の顔って膨らむじゃない、もうデブってておかしくってさー」


モララーくんの死に顔を確認した時、デレは泣き崩れて見せた。

そりゃもうわたしと婦警さんの二人で支えなきゃ立ち上がれないくらいに。

これを読んでる男の人に、女の真実を教えてあげる。

『嘘泣きができない女はこの世に存在しない』。


ξ ゚听)ξ「デレちゃーん!」

(゚q 。川「あうあうあーwwwwwwwww」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:06:04.23 ID:DdNda8wM0
30.
通りの向こうからツンとカタワーが走ってきた。


('、`*川「あ、ツンだ」

ζ(゚〜゚;ζ「うえっ」


デレがまずいものでも食ったように顔をしかめた。

まあ、一回呼吸する間にはあっという間に泣き顔に変わってたけど。


ξ ゚听)ξ「かわいそうに。大丈夫だった?」

ζ(;−;*ζ「う、うん……ぐすっ」

ξ ゚听)ξ「かわいそうに……大丈夫よ、わたしがついてるからね」

σ('、`*川 ホジホジ


女二人は抱き合って泣いた。

わたしは小指で耳クソをほじりながら今日の夕食は何だろうかと考えていた。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:08:00.51 ID:DdNda8wM0
31.
ξ ゚听)ξ「ちょっとペニサス!!」

σ('、`*川「はーい何ですかー」

ξ ゚听)ξ「デレちゃんを家に送ってあげなさいよ」

('、`;川「え? わたしが? ツンが行きゃいいじゃん」

ξ#゚听)ξ「わたしが行きたいわよ、あんたなんかに任せるくらいなら!

     でもわたしも警察に呼ばれてんのよ、事情聴取だとかで」

('、`*川「ふーん。あんたモララーくんと知り合いだっけ?」

ξ ゚听)ξ「知り合いってほどじゃないけどね、まあね」

('、`*川(わたしをハメようとしてるな。間違いない)


これはツンの罠だ。

わたしは直感と言うか、ほぼ霊感じみたものでそれを察知した。

一度罠にはまったんだからそりゃあわかるさ。

いくらわたしがボケでも、二度もトラバサミを踏みはしない。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:10:16.86 ID:DdNda8wM0
32.
('、`*川(わたしにデレを送らせようとしている……真意は何か?

    ……不貞を探ってるな、まあ間違いなく)

ξ ゚听)ξ「不安だろうから夜までは一緒にいてあげるのよ、わかった?」


わたしは面倒臭そうに頭を掻いた。


('、`*川「え〜……四時から初代プリキュアの再放送がさぁ……」

ξ#゚听)ξ「いいから行くの!! わかった?!」

ζ(゚ー゚*ζ「えーと、別にわたしはそんな……ペニサス、嫌だったねえ、別に……」

ξ ゚听)ξ「あんたは黙ってて」

('、`*川「やれやれ。そういうことだからよろしくね、デレちゃん」

ξ ゚听)ξ「頼んだわよ。じゃ行きましょ、カタワーちゃん」

(゚q 。川「おkwwwww」


わたしたちは二人ずつに分かれ、別々の道へ入った。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:12:26.35 ID:DdNda8wM0
33.
家に入ってドアを閉めると同時にデレが抱きついてきた。


ζ(///*ζ「も、もうだめぇ……ペニサスぅ、もう我慢できないよぉ」

('、`*川「んー? 歩きながら欲情するなんて悪い子だ!」


わたしたちはもつれ合いながら、掃除の行き届いた小奇麗な居間に移動した。

……あのソファなら窓の外からよく見えるな。

わたしは隙間が大きく出来るようにぞんざいにカーテンを閉め、明かりをつけた。


ζ(///*ζ「あ、明かりは消してぇ!」

('、`*川「ダメでーす。消したら見えないもーん」

ζ(///*ζ「いやぁあ……はじゅかちい……」


外はもうすっかり暗くなってる。

さあ、これでよく見える筈だ。わたしたちがここで何をしているか。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:14:26.67 ID:DdNda8wM0
34.
わたしのたった一つの懸念は、わたしとデレの浮気現場を見ただけで「そいつ」が帰って

しまわないかと言うことだった。

それだけじゃあせいぜいイワシがかかったくらいで、鯛を釣り上げたことにはならないんだ。

だけど幸い、わたしとデレの睦み合いが済んでもそいつは居た。

間違いなく、そこに。

わたしとデレは体の芯にとろとろした熱を残したまま、もたれ合ってソファに座っていた。


ζ(///*ζ「ペニサス、すっごく良かったぁ……最近ずっと会えなかったからぁ」

('、`*川「ちょっと聞いてくれる、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「何?」

('、`*川「外でカタワーが覗いてる」

ζ(゚−゚;ζ「!?」


デレの驚いた顔を隠すため、わたしは彼女に覆い被さってデレの口を自分の口で塞いだ。



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:16:26.74 ID:DdNda8wM0
35.
ζ(///*ζ「んっ……んんぅっ……」


たっぷり唇を吸ってから再び、耳元に囁きかける。


('、`*川「問題が全部片付く案があるの。これから言うことを良く聞いて」

ζ(゚ー゚*ζ「う、うん……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


わたしは服を着直し、家を出た。

デレが見送りに出てくる。

わたしたち二人は彼女の家のドアの前で向かい合った。


('、`*川(カタワーはあそこだな……よし)


奴に聞こえるよう、ひそめながらも大きな声を出す。

小さいけど大きい声を出すってわけ。む、難しい……

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:18:05.90 ID:DdNda8wM0
36.
('、`*川「さっき行ってた、ツンのことって何?」

ζ(゚ー゚*ζ「う、うん……あのね、ペニサスだけには言っとこうと思って」


彼女は言いにくそうに顔を歪めた。

いい演技だよね。でもカタワーに演技と真実の区別がつくほどの脳みそってあんのかな?


ζ(゚ー゚*ζ「聞いちゃったの」

('、`*川「何を?」

ζ(゚ー゚*ζ「カタワーが池沼になった理由って、ツンのせいなんでしょ?」

('、`*川「え……?」

ζ(゚ー゚*ζ「知らなかったの?」

('、`;川「し、知らっ……知らないよ! 何それ!?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん……ずっと前のことなんだけどぉ」


デレはぽつぽつと(わたしが吹き込んだ話を)話し始めた。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:20:19.43 ID:DdNda8wM0
37.
デレが前に一度、アポなしでツンのとこへ遊びに行った時のこと。

だけど寮にツンはおらず、デレは諦めて家に帰った。

その時たまたま、本当に一時の気まぐれで、近道をしようと立入禁止の建物の中を通った。

その裏路地の誰も来ない、廃棄されたボイラー室で彼女は見てしまった。

とんでもないものを。

そりゃあもう、本当にとんでもないものを。


ζ(゚ー゚*ζ「ツンは……カタワーと、だから……その……つまり、本来なら血が繋がってる家族とは、

     絶対しちゃいけないことを……そこで……」

('、`*川「それって……き、近親相姦? 同性愛はまだDNA的に許されるけど、そりゃあ……」


我ながら意味のわかんないことを言ってしまった。


ζ(゚ー゚*ζ「ツンはカタワーに色んなとこを舐めさせながらね、言ってたの……

     おしおきだって。これはあの時のおしおきだって……」


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:22:10.66 ID:DdNda8wM0
38.
ξ*'兪)ξ「言ってみなさい、言うのよ! あんたの頭がおかしくなったのは何でなの?!」

(;q 。川「はいい!! お姉さまがww花瓶を投げた方向にwww醜いわたしがwwいたせいですww」

ξ#'兪)ξ「ハァハァ、ハァハァ! いいわ、いいわよ! カタワー!」

(;q 。川「ぶひいいいwww」

ξ*'兪)ξ「あっ、あああっ! いいわ、いいわ! もっと、もっと言いなさい!」

(;q 。川「ぶひいいいい!! カタワーめはツンさまのwww奴隷ですwwwww

     池沼にしてくれてありがとうございますwwwありがとうございますwwww」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


('、`;川「snegってレベルじゃねえぞ!」

ζ(゚ー゚*ζ「ほんとなのよぉ、見ちゃったんだから!」


わたしは頭を抱え、食い縛った歯の合間から苦悩の溜息を洩らした。


('、`;川「ど……どうするんだよぉ、それぇ」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:24:06.37 ID:DdNda8wM0
39.
ζ(゚ー゚*ζ「どうって……ただわたし、ペニサスには伝えとかなきゃって思って……」

('、`;川「そんな気遣いすんなよぉ!! どうしよー、どうしよー……」

ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、ペニサス……」

('、`*川「こうしよう、みんな忘れる。わたしもあんたも全部忘れて一件落着」

ζ(゚ー゚*ζ「みんなに言いふらせばいいじゃない! そうすればわたしとあなたは……」

('、`*川「あんたなんか遊びなの!! 何で一緒にならなきゃなんないの!?」

ζ(;−;*ζ「!!」

('、`*川「わたしツンに脅されててさぁ、逆らえないんだよぉ……

    とにかくそういうことだから。じゃあね」

ζ(;−;*ζ「ペ、ペニサス……ひどい……! わたし言っちゃうから、みんなに全部!」

('、`*川「知らない知らない、わたしは何にも知らなーい!」


茂みから誰かが駈け出して行ったが、わたしたちは気づかないふりをした。

いそいそとデレと別れながら、わたしは彼女に笑って親指を立てた。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:26:42.80 ID:DdNda8wM0
40.
('、`*川 b

ζ(゚ー゚*ζノシ


わたしはしばらく歩いた後、すぐにデレの家に取って返した。

ここからのわたしの行動はデレには明かしていない。

彼女に伝えたのはこうだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


('、`*川「カタワーは大急ぎで戻ってツンにこの話を伝えるさー。

    これでツンはもう学園にはいられなくなるってわけ」

ζ(゚ー゚*ζ「んー、でもこれってあなたの作り話なんでしょ? 回りくどいなぁ……」

('、`*川「池沼を身内に持ってるとねー、噂は真実より力を持つのよ。

    さすがにこればっかりは風紀委員にもどうにもできないしね。

    さ、これで彼女はすぐにでも転入か退学届を出すでしょう!」


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:28:35.98 ID:DdNda8wM0
41.
('、`*川「何でもわたしの言う通りにするって言ったでしょ、ね?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


わたしはデレの家をノックした。

インターホンで彼女の名を呼ぶ。

すぐにロックが外れてドアが開いた。


('、`*川「忘れてた。ちょっといい?」

ζ(゚ー゚*ζ「え? 何?」


彼女の家に入る。


('、`*川「前あげたスタン警棒をちょっと見せてくんない?」

ζ(゚ー゚*ζ「え? いいけど何で?」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:30:05.10 ID:DdNda8wM0
42.
('、`*川「いや、もしかしたらツンが逆上してあんたに何かするかも」

ζ(゚ー゚*ζ「ん……それはあるかも」


デレは部屋の奥からスタン警棒を持ち出してきた。

バッテリーが入っていることを確かめ、中空に向けてスイッチを押して見た。

ババババ、と青白いスパークが弾ける。

うん、完璧。

わたしはデレの背後に回り込み、背中から抱いた。

思い切り強く。


('、`*川「デレ、わたしのこと愛してる?」

ζ(゚ー゚*ζ「んっ……あたり前じゃない」


人間にとって一番素敵なことは、きっとお互いの熱を共有し合うこと。

それはお互いが生きてるってことを証明し合うことだから。


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:32:00.88 ID:DdNda8wM0
43.
抱き合うこともキスすることもセックスするのもみんなそう。


('、`*川「本当に愛してる?」

ζ(゚ー゚*ζ「もう、どうしたの?」

('、`*川「愛してるって言って」

ζ(゚ー゚*ζ「……愛してる。世界で一番あなたが好きよ」


わたしは後ろから彼女の首筋にスタン警棒を押しつけた。


('、`*川「ごめんね。本当にごめんね。実はわたしが唯一愛してるのは、わたし自身だけなの」

ζ(゚−゚;ζ「ちょっ……ちょっと……」


バチン!!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


わたしはそれから、暗い部屋で一人息をひそめて待っていた。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:34:34.96 ID:DdNda8wM0
44.
ツンはすぐに来た。

必ず来るだろうとは思っていたけど、本当にすぐに来た。

チャイムが鳴る。

当然だけど誰も出ない。家の灯りも落ちている。

ドアのノブが回る音がして、すぐに開いた。


ξ ゚听)ξ「不用心ね」

(゚q 。川「ぱしろへんたすwwww」

ξ ゚听)ξ「デレ……いるの?」


ドアをしめて鍵をかけ、ツンは遠慮なく家の中に入ってきた。

真っ暗な部屋の中、足音を忍ばせて居間にやって来る。


ξ ゚听)ξ「いるんでしょ、ねえ! いるんでしょおおお!!!」


何か硬い物でドカドカ壁を殴る音がした。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:36:08.70 ID:DdNda8wM0
45.
間違いなくわたしがプレゼントした、デレとお揃いのスタン警棒だ。

どかどか足を踏み鳴らしながら、怒りに任せて居間に入ってきたツンは、床に転がっているものを見た。

電撃を食らって気絶しているデレだ。

わたしは身をひそめていたキッチンの物陰から足音を忍ばせ、彼女たちの方へ距離を詰めた。

まずはカタワーの肩を軽く叩く。


(゚q 。川「お?」


振り向いた瞬間、胸板にスタン警棒の先端を当ててトリガーを握り込む。

バチン!!


(;q 。川「あぎっ!?」

ξ;゚听)ξ「カタワー!?」


カタワーが倒れたのを確認してから、わたしはツンに飛びかかった。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:38:18.02 ID:DdNda8wM0
46.
ξ;゚听)ξ「ひっ!!」


ツンが手にしていたスタン警棒をとっさに持ち上げ、わたしの手を振り払った。

振り払いざまにトリガーを絞り込んだんだろう、カチッて音がした。


('、`*川「チッチッチ」


わたしとツンは向かい合い、はじめてお互いの顔を見た。

わたしたちの間で違うことがあるとするのなら、わたしは彼女がツンであることを知っていたけど、

ツンはわたしがわたしだなんて思いも寄らなかったってことかな。

ポケットからあらかじめ抜いておいたスタン警棒のバッテリーを取り出し、彼女に見せる。


('、`*川「ちゃんと確認しなきゃね」


わたしは唖然としている彼女を捕まえ、みぞおちに思い切り膝蹴りを入れた。


ξ ゚听)ξ「げえっ!!」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:40:24.99 ID:DdNda8wM0
47.
腹を抱えてうずくまったところで背後に回り込み、首に腕を巻き付ける。

柔道部と掛け持ちしてる風紀委員の知り合いに習った、襟締めとかいう技。


('、`*川「実はねえ、あんたとカタワーのイケナイ事を見ちゃったのはねえ……」

ξ  )ξ「げっ……んぐっ……!!」

('、`*川「デレじゃなくてわたしなの。彼女は作り話と思ってたらしいけど、この事はさあ……」

ξ  )ξ「がっ……がっ……」

('、`*川「いつかきっと『こういう時』に役に立つと思ってたわー。事実あんたはここへ来た」

ξ  )ξ「……」


ツンは落ちた。

つまり、頸動脈を押さえられて気絶したんだ。

これでこの場に二本の足で立ってんのはわたしだけ。


('、`*川「よし」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:42:06.58 ID:DdNda8wM0
48.
気合いを入れる。

そしてポケットからゴミ袋を取り出した。

それをデレの頭に被せて、ツンの持っていたスタン警棒を拾い上げる。


('、`*川「……」


さすがに気の重い仕事だ。

横向きに倒れたデレを見下ろしていると、胸が痛む。

涙すら出て来た。


(;、;*川


スタン警棒を振り上げる。

振り上げた以上は、振り下ろすしかない。

つまり、デレの頭へと。



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:44:22.93 ID:DdNda8wM0
49.
何度振り下ろしたかは覚えていない。

でも血が跳ねないように彼女に被せたゴミ袋は、真っ赤になっていた。

それを拾い上げ、裏返して固く縛ってポケットに戻す。

次に潰れたトマトみたいになっているデレの頭を、バッテリーを入れ直した警棒で撫でて血を付け、

ツンに握らせた。

デレの持っていた警棒は彼女の部屋の机の中に放り込んでおいた。


('、`*川「さらば、我が青春の一ページ」


わたしはデレの家を出た。

二度とここへ戻ることはないと知りながら。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


寮についたわたしは腕時計を見た。

そろそろツンたちが意識を取り戻すだろう。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:46:08.46 ID:DdNda8wM0
50.
電話を手に取る。


('、`*川「あ、け……警察ですか?! ちょ、ちょっとね、ちょっと……その、相談したいことが……」

(*゚ー゚)「落ち着いて話して下さい。あなたの名前は?」

('、`*川「わ、わたしはペニサス伊藤って言います。ポッツヴィル学園普通科の二年生。

    そ……それでっ、その……ちょ、ちょっと大変なことになっちゃって……」

(*゚ー゚)「落ち着いてゆっくり話して下さい。どうしたんですか?」


わたしはデレとデレの家の前で演じたことを話した。

ただしカタワーがそれを盗み聞きしてたのを知ってたってことは秘密。


('、`*川「それで今その、ツンって子がどっかに出かけてたんです今見たら!

    ちしょ……障害者の妹もいないし、それに、それにね、前プレゼントしたスタンガンが

    どこにも見当たらないんです!! どうしよう、どうしよう……」


泡食って話すフリするのって結構難しいな。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:48:00.80 ID:DdNda8wM0
51.
(*゚ー゚)「わかりました、ただちに警官を送ります。

    その、デレさんですか? の住所を教えて下さい」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


さて、翌日。

実に晴れ晴れとした秋晴れで、わたしの心も澄み切ってた。

学校の帰り道、いつもの町並みもなんだか楽しげ。

ふと街頭テレビの前を通りかかった時、朝からずっとやっていたニュースを耳にした。


(,,゚Д゚)「……女子高生殺人事件の続報です。

    警察は少女Aを犯人と断定、逮捕することを発表しました。

    親友だった筈の少女を警棒で殴り殺すという凶行、少女の抱えた心の闇とは一体――――」

('、`*川(バカばっかり)


心の闇(笑)だってさ。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:50:01.32 ID:DdNda8wM0
52.
『突然の事件に同級生は――』とかいうやつで、顔から下の女性生徒が映った。


(;;;;;;)「はい、すごく優しい子だったので本当にビックリしてます」

('、`*川「あ、わたしだ!」


ちぇっ、顔が映らないんじゃ嬉しくないや。

もう二人ばかり出たけど、みんな同じようなコメントをしていた。

もちろんわたしを含めて大ウソに決まってんだけどね

ツンの味方なんかこの学園にはいない。

ツンだって自分のそんな性格を知っていたからこそ、わたしというパトロンが必要だったんだ。

警察の事情聴取だって悪く言う奴こそいても、彼女に有利な証言を出す奴がいるわけがない。

そのくらいツンはみんなに嫌われてたんだ。

たった一人、わたしの手前、仲が良い振りをしていたデレを除いては――――

あれ、この言い方じゃ除けてないな。



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:52:08.67 ID:DdNda8wM0
53.
わたしも今朝警察に話をして来たところ。

ツンは何百回もわたしが真犯人だと喚いていたらしいけど、警察は相手にしなかったみたい。

だってそうじゃない?

自分の秘密を知ってしまった女、つまりデレを殺そうと彼女の家に行きました、

そこにペニサスがいました、気絶させられました、気がつくとペニサスはおらずデレは死んでました。

いったい誰が信じるんだよこんな話を。

警棒の入手先とか多少苦しい点はあったけど、どっちみち証拠にはならない。

わたしを有罪にするにはデレを生き返らせるしかないもんね。

笑ったのはこのくだり。

取調室で刑事がわたしに言った。


/ ,' 3「容疑者があなたにレイプされたった言ってるんですがね」

('、`;川「うぐっ」

/ ,' 3「あなたで五人目なんですよ、これが」


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:54:15.02 ID:DdNda8wM0
54.
('、`*川「……へ?」

/ ,' 3「どうもあの少女、レイプされたって言いふらしてやると言っては、他の生徒を

   脅迫してたようでしてね。被害届け、出します?」

('、`*川「あ、いえ……いいです」


これにはほんと驚いた。

あの女、つくづくとんでもないな。


('、`*川(おっと、こんなことしてないでクーのとこに行かなきゃ。

    今日から理想の生活が始まるんだ)


跳ねるように町を駆け抜ける。

頭の中でノンストップで大好きなラブソングをかけながら。

季節はもうクリスマス。

町はなんだか浮かれてる。


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/16(金) 23:58:22.86 ID:DdNda8wM0
55.
人はみんな複雑な問題に簡単な答えをくっつけたがる。

子供が人を殺した。

誰かがそれはTVゲームのせいだと言った。

その子供が人を殺すゲームソフトを持っていたから。

本当は家庭環境、社会環境、人間関係、教育、その他山のような問題がもつれにもつれあって発生した

死ぬほど複雑な問題なのに、人殺しの結論は『人を殺すゲームのせい』。

マスコミが垂れ流す「バカのために用意した答え」を何の疑問もなく受け入れてる。

あいつらには永久に理解できない。

この世に数えきれないほどある問題の大半には、理由も答えもないってことを。

現実がうまく行かないことや理不尽なことだらけなのは、別に不思議じゃないってことを。

世の中が間違ってるんじゃない。

間違ってるのが世の中なんだ。


('、`*川(……こんなことを考えるわたしはイカレてるんだろうな)


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:01:11.29 ID:1JnlHYRM0
56.
わたしは自分の考えに肩をすくめる。

途中花屋に寄って花束を買った。

クーの好きな青いトケイソウだ。

花言葉は何だったかな?


('、`*川「ま、いっか!」


クーのいる音楽家の女子寮が見えて来た。

さあ、とびっきりの笑顔を見せに行こう。







わたしはこの世のあらゆる問題に、わたしの利益になる答えだけを出す。



おしまい

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:03:38.05 ID:1JnlHYRM0
おわりです
支援どうもでした
皆様の応援が創作の活力でございます

原作とは大分違う部分があるので読み比べてみるのもまた一興。
しかし原作つきというのもこれはこれで難しいもんだ。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:08:46.82 ID:1JnlHYRM0
具体的には

原作 邪悪女
アメリカの片田舎 → 学園都市
風紀委員 → 保安官
スタンガン → 銃
レズ → ノーマル

あと最期に死ぬのは原作だとツンと池沼に当たる人物で、デレが罪を被せられる
保安官選挙のエピソードとかもあるんだけどそれも省いてます。


113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:09:35.50 ID:1JnlHYRM0
また間違えた……こうだこう

邪悪女 → 原作
学園都市 → アメリカの片田舎
風紀委員 → 保安官
スタンガン → 銃
レズ → ノーマル


114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:10:54.84 ID:Gh0UP3gfO
作者さんの他の作品を教えてもらっていいかな?
10時間だけ王になるやつとか作者さん?

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:14:11.55 ID:1JnlHYRM0
10.
で、>>114は言った


/(∞))∧
(´<_` ∬「他になんてタイトルのを書いたんです?」


すかさず答える俺



         ∩
         / ∃
         / /
        / /
   ∧_∧/ /  『ブーンがアルファベットを武器に戦うようです』
   ( ´_ゝ`) /
   /⌒   〈
   / /    l
  (  ヽ    .|
   \ 〉   l
    ( (    ヽ
    ヾ   ,   \  
    /  / \  \


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:16:34.84 ID:huZ0BfY70
>>116
嘘こくなww
超現実的愛情とか完全犯罪とかツンの殺人計画とかあるだろ

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/17(土) 00:21:53.92 ID:LVmc83F7O
あんたのそういう所好きだよwwww
超愛待ってるからな

inserted by FC2 system