从 ゚∀从黒ずきんちゃんのようです
- 1 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:30:53 ID:tr2li7Pc0
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三国志Z参加作品です
ホントは書き溜めたものもあって、ばりばりVIPに投下したかったけど
残念ながら携帯もPCも規制されたままなので、書き溜めはひとまず置いておき
でもやはり参加表明をした以上は、何か作品を書くべきだと思ったので
ここ、したらばにてながら投下させていただきます
途中で中断、最悪ミカンもありえますので、そこのところはご容赦を
ゆっくり、ゆっくり、んで軽くやります
- 2 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:33:15 ID:tr2li7Pc0
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昔々、あるいはずっとずっと未来。
あるところに、股ぐらが靴紐よりも緩いクソビッチがいました。
彼女の名前はハイン。
巷じゃ噂の、でもそう珍しくもないネジの外れたカスです。
- 3 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:34:45 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从黒ずきんちゃんのようです
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- 4 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:36:32 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从y━・~
ハインは暇さえあればシケモクをふかし、毎日ゲロの臭いが染みついた路地裏でクズを相手に腰を振っています。
そこいらの物陰でたまっている悪ガキで、ハインをヤッたことのない者はいません。
そんなハインは1ペニーでも簡単に股を開きますが、10ポンド積んでも服すら脱がない時もあります。
要するに彼女がヤりたい時にヤらせているだけなのです。
みんなが噂します。
(’e’)「ハインは性病の百貨店さ。いつ死んでもおかしくない」
(’e’)「でもハインが死んじまうと、ワンコインでセックスが出来なくなるから長生きして欲しいね」
从 ゚∀从「ファック」
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- 5 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:38:08 ID:tr2li7Pc0
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尻の処女も無いくせにプライドばかりあるハインは、そう罵っては悪ガキをブン殴ります。
ハインはまだ“はたち”にもなっていない小娘でしたが、なんとなくこの世の構造とかは理解していました。
大人はクズで、子供はバカであること。男はペニス、女は子宮でモノを考えること。
金も学もないダウンタウンの連中は、自分も含めて救われないこと。
こうして社会を批判的に見れる自分を、ハインは利口だと思っています。
もちろん、そんなわけがありません。
从 ゚∀从「人生に必要なもの。それはハッパとセックスとフィッシュアンドチップス」
やっぱりハインも、そこらのガキと同じでアホでした。
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- 6 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:40:49 ID:tr2li7Pc0
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そんなアホをこしらえた両親は、これまた残念なことにアホより酷いクソッカスでした。
o川*゚p゚)o「あうあうあー」
まず母親が“キチガイ”でした。これが良くない。
母親は顔は良いのですが、生まれた時から脳ミソがサワークリームのようにトロけていました。
アルファベットをQまで覚えられないし、話しかけてもまともに返事ができません。
その上いつもヨダレと鼻水を垂らしているので、ハインは溶けた脳ミソが漏れ出ているんだと思っていました。
ハインは母親が大嫌いでしたし、自分がそんな“キチガイ”の娘かと思うと虫唾が走ります。
だから毎朝ハインは母親のベッドに向かい、日課と称しておはようの挨拶の代わりにタンカスを吐きかけるのです。
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- 7 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:43:07 ID:tr2li7Pc0
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対して父親は、母親より頭はマトモでしたが性根はとことん腐っていました。
おまけに顔は吐き気を催すほどブサイクです。
(´゚ω゚`)「ブヒッ! ブヒッ! ブヒヒ! ハッパ吸いながらするセックスは最高だブヒヒ!」
昔いじめっ子に鼻をツブされて以来、豚のような顔になってしまったらしいのです。
そんな父親にまともな女など付いて来るはずがなかったのですが、父親は母親に目をつけました。
美人でも会話一つ出来ない女なんて誰も相手にしません。ですが、父親は女なら誰でもよかったのです。
彼が必要としていたのはセックスのための道具と、所帯持ちというちっぽけな見栄でした。
そして半ば強引に“キチガイ”の母親を犯すと、そのまま二人して家を飛び出してやったのです。
今でもこうして毎晩母親を犯しては、酒とドラッグに溺れる正真正銘のカスです。
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- 8 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:44:33 ID:tr2li7Pc0
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こんな家庭では、ハインのようなクズが生まれるのも頷けます。
ハインの方も、いつかこんな家は出て行ってやろう、と考えてました。
しかし一人で生きていくには金がいるし、金があったらハッパを買ってしまうので資金が貯まりません。
結果、彼女は限りなく底辺に近い生活を、ただダラダラと過ごしていくしかなかったのです。
そんなハインに転機がおとずれました。
(´・ω・`)「おい、ハイン。ちょっとお前仕事頼まれてくれねーか?」
从 ゚∀从「何だよ」
(´・ω・`)「町のずっとずっと外れの森の奥、ジャンク置き場に住んでるお前のバアちゃんのこと覚えているか?」
从 ゚∀从「???」
(´・ω・`)「まぁいい。ちょっとそのバアちゃんのところまでオツカイに行ってきて欲しいんだよ」
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- 9 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:46:43 ID:tr2li7Pc0
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父親は煤けたバスケットに、固いパンと酒瓶、そして札束を突っ込むと、ハインに渡します。
(´・ω・`)「いいか、バアちゃんは病気でな。これは見舞いの酒と金だよ」
(´・ω・`)「地図も入れておいた。間違いなく届けるんだぞ。酒にも金にも絶対に手を出すな!」
(´・ω・`)「んで多分、バアちゃんはお前におみやげを渡してくれるだろうさ。それもきちんと持って帰って来い」
从 ゚∀从「おみやげって何だよ?」
(´゚ω゚`)「ンンンなことはお前が知らなくてもいいんだよ! とにかくさっさと行けこの糞ガキ!」
ふごふごと豚鼻を鳴らして言うと、父親はケツを蹴っ飛ばし、強引にハインを家から追い出しました。
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- 10 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:48:08 ID:tr2li7Pc0
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父親の臭い息に不機嫌になりながらも、ハインは地図の通りに道を行きます。
途中、珍しく親の言いつけを守っているハインをからかいに、悪ガキ共が群がって来ました。
(’e’)「おい、ハイン。テメー、ビチグソがお使いなんかしてどういうつもりだよ?」
(-_-)「かかかかか、金持ってるんだろう? くくく、くれ、俺たちにくれよ」
(`・ω・´)「ゲッヘッヘッヘ」
从 ゚∀从-3
ですがハインは落ち着いた様子で道端のレンガを拾うと、ガキの一人の頭をカチ割って追い返してやりました。
从 ゚∀从っ□「お前のツラ、昔から気に喰わなかったんだよ」
(’e’;)「あひぃ、や、やめて」
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- 11 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:51:33 ID:tr2li7Pc0
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容赦なんかしません。
(’e:.´:・.「ぶぎぃい」
命乞いする悪ガキのドタマに、トドメの一発をお見舞いしてやりました。
脳ミソをハミ出した死体を草むらに隠すと、ハインはまたお使いの道に戻ります。
ですが悪ガキ達の言うこともごもっともでした。
今なら金も酒もどうしようがハインの自由です。誰も咎める者などいません。
このまま酒をあおりながら、どこか遠くの街に逃げていくことも可能でしょう。
从 ゚∀从 (でも、あのケチクセー親父がこんな大金をバアちゃんに?)
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- 12 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:53:37 ID:tr2li7Pc0
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ハインはバアちゃんのことなんてよく覚えていません。
一体どんな人だったのでしょう。少なくとも、あの父親を生んだのですからまともとは思えませんが。
しかし、この金の使い道だけはどうしても気になってしょうがありません。
本当に、ただの見舞い金でしょうか。そんな馬鹿な。
从 ゚∀从 (そういえばバアちゃんからおみやげを貰って来るように言われてたな)
从 ゚∀从´(もしかして、なんだか相当すごいおみやげなのかもしれない!)
金を奪って逃げるにしても、その“おみやげ”が何なのか確かめてからでも遅くない。
どうせなら、金と一緒にその“おみやげ”もブン奪ってしまえばいい。
そう思い付くや否や、ハインの足取りは軽やかになりました。
ガキ一人ブッ殺した後とは思えません。
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- 13 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:55:05 ID:tr2li7Pc0
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♪
从 ゚∀从~
ハインが上機嫌でスキップしていると、やがて鬱蒼とした森に辿り着きました。
地図によるとこの森の奥に、バアちゃんの住んでいるジャンク置き場があるらしいです。
早速、森に入ろうとすると、そばの木陰に何か毛むくじゃらの生き物が座っていました。
鼻がひん曲がりそうな体臭を放つ、真っ黒い毛並みの生き物です。
ミ,,゚Д゚彡「ぐぅーるるるるぅ……!」
静かな唸り声を上げる、それは野生の狼でした。
尖った耳に、ぱっくり裂けた口に並ぶ牙。鋭い爪にふさふさとした尻尾。間違いなく狼です。
ですが、どうにも痩せ細ったそいつは迫力に欠けました。目ばかりギラギラと光って、逆に不健康そうです。
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- 14 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:57:52 ID:tr2li7Pc0
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こんな狼なら襲われても怖くないとふんだハインは、道端の石を拾い上げると脳天に向かって投げつけました。
ミ,,;Д;彡「ぎゃいん!」
思った通り。
情けない鳴き声を上げると、狼は隠れてしまいました。
とんだ臆病狼です。悪ガキとはいえ、娘っ子のハインにすら太刀打ちできません。
ハインは狼の尻尾をふんづけると怒鳴り声を上げます。
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- 15 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 11:59:07 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从「このクソ犬! 誰に向かって吠えてやがるんだ!」
ミ,,;Д;彡「きゃいん! 吠えていません! 吠え声に聞こえたのはたぶん、僕のお腹の音です」
从 ゚∀从「何だ、狼。お前は腹を空かしてやがるのか?」
ミ,,゚Д゚彡「も、もう三日も食べていません。ネズミ一匹、小鳥一羽すら口にしていない。ひもじい!」
从 ゚∀从「うるせぇボケが!」
ハインは狼の頭をブン殴ります。
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- 16 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:01:16 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从「腹を空かしているならな、狼。ここにパンと酒がある」
从 ゚∀从「女一人で森を歩くのはキケンだからな。俺の子分になるならくれてやろう」
ミ*,,゚Д゚彡「本当ですか? 子分になります! ずっとあなたに着き従います!」
ミ,,゚Д゚彡「だからパンちょうだい!」
从 ゚∀从「うるせぇボケが!」
ハインはもう一発、酒瓶の底で狼の横っ面を叩きました。
捨てるようにくれてやった固い黒パンを、狼は大喜びで平らげます。
よほど腹を空かしていたのでしょう。ぺろりと平らげると尻尾を振って喜びます。
ミ,,゚Д゚彡「もっとちょうだい!」
从 ゚∀从「もうねーよボケ!」
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- 17 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:06:34 ID:tr2li7Pc0
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新しい子分を手に入れたハインは、上機嫌ですがそろそろ疲れてしまいました。
仕方がないので傍の丸太に腰掛けると、枯れ枝を積んでその上でマッチを擦ります。
今日のところはここで野宿をするつもりらしいです。
ミ,,゚Д゚彡「こんなところで野宿をしたら獣に襲われちゃうよ?」
从 ゚∀从「黙れチンカス、だから焚き火を焚こうとしてるんだろうがボケ」
从 ゚∀从「それに獣はお前もだろーが」
ミ,,゚Д゚彡「ははぁ、それもそうだったね」
ハインは心底、このケダモノのことをアホだと思いました。
やがて、ばしんばしん、と数本マッチをダメにしてから、やっとのことで焚き火が燃え上がりました。
日が落ちて真っ暗になった森では、焚き火の明かりに頼らなければ何も見えません。
これで動物に襲われる心配はありませんが、目の前で狼が一緒に焚き火にあたっている光景はなんとも間抜けです。
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- 18 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:12:13 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从「そういえばマッチを擦っていたら、面白い話を思い出しちまった」
ミ,,゚Д゚彡「どんな話?」
从 ゚∀从「むかし話だよ。あるところに……なんだっけな、冬の街でマッチを売ってる売女(バイタ)がいたんだ」
从 ゚∀从「でもよー、どいつもこいつもしけてて一箱どころか一本もマッチを買ってくりゃしねえ」
从 ゚∀从「寒くて死にそうになった売女は仕方ねーから、売り物のマッチを擦ったんだわな」
从 ゚∀从「すると驚いたことに、マッチの火の向こう側にご馳走の山が見えたそうだ」
ミ,,゚Д゚彡「ご馳走?! いいないいな!」
从 ゚∀从「話を聞けよボケ! ご馳走はな、腹を空かせた売女が見た幻覚だったのさ」
从 ゚∀从「でもよ、売女は少しでも暖をとりてーから次々とマッチを擦るんだ。オナニーみてーにな」
从 ゚∀从「すると温かい暖炉や、ふかふかのベッドとか、綺麗な幻覚がいっぱい見えたんだと」
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- 19 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:20:54 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从「でもマッチの数にも限りがあるしよー」
从 ゚∀从「最後に売女はな、十本ぐらい束になったマッチを一度に擦ったんだ」
从 ゚∀从「するってーとビックリ! マッチの火の向こう側にキングサイズのディックが見えたんだ。何本もな」
从 ゚∀从「売女は喜んでしゃぶり付いたんだけどよ。これまたビックリ、マッチの火は消えてもどのディックも消えない」
ミ,,゚Д゚彡「はぁ」
从 ゚∀从「ディックは幻覚じゃあなかったんだよ。いつの間にか売女の周りには、男どもが群がっていてな」
从 ゚∀从「どいつもイカついガタイをしたニガーだぜ? 売女は泣き喜んで腰を振りまくりさ」
从 ゚∀从「んで、翌朝まで売女はレイプされてよ。幸せそーなツラして天国に昇っちまったんだってな」
从 ゚∀从「おわり、お・わ・りだよ! ギャハハハハハ、傑作だろ傑作」
ミ,,゚Д゚彡「面白いのその話?」
从 ゚∀从「俺が愉快だって言ってんだから面白いんだよボケ!」
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- 20 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:28:21 ID:tr2li7Pc0
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そうやって黒ずきんちゃんは下らない話を狼としながら夜を過ごしました。
時に酒をあおり、時に狼のペニスをしゃぶったり。
一晩中大騒ぎをする彼らの周りには、キツネ一匹フクロウ一羽近付きませんでした。
やがて空が白んで来ると、脱ぎ散らかしていた犬スペルマ臭い服を被り直し、黒ずきんちゃんはオツカイに再出発します。
ミ,,゚Д゚彡「おつかいってどこに行くの?」
从 ゚∀从「森の奥に住んでいる俺のバーちゃんの家にだ」
ミ,,゚Д゚彡「森の奥?! じゃああの意地悪婆さんの家に? やめた方がいいよぅ、酷い目に遭うよぅ」
从 ゚∀从「何でだよ?」
ミ,,゚Д゚彡「お腹が空いてその家に忍び込んだら、あのお婆さんにライフルを撃ち掛けられたことがあるんだ」
ミ,,゚Д゚彡「ひどいよ、冷蔵庫をあさっていただけなのに。今でもお尻にその時の弾がめり込んでいるんだ」
ミ,,゚Д゚彡「森の動物たちはみんな怖がっているよ。あの婆さん、蟻んこ一匹家に近づけたがらないんだ」
从 ゚∀从「へぇ……」
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- 21 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:36:19 ID:tr2li7Pc0
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ハインはアホですが、勘は良い方です。
ハインの婆ちゃんがそこまでして、家に誰も近づけたがらないのにはきっと理由があるとふみます。
それが父親の言っていた“おみやげ”なのでしょう。
いよいよ確証が持ててきました。ハインはどうにかして、その“おみやげ”をブン盗りたくなったのです。
ですが狼の話を聞く限り、赤ずきんでもそう易々とは近付けさせてはくれないでしょう。
どうするべきか。悩んでいる内に、木立ちの向こうに家が見えてきました。
クズ鉄の山に隠れるようにして建っている、古ぼけた一軒家です。
ミ,,゚Д゚彡「どうするの? どうするの?」
从 ゚∀从「黙れカス! よぅし、一計を思い付いた。お前は俺の言う通りにしろ、いいな?」
从 ゚∀从「上手くやれれば、皺くちゃババアの肉はお前で一人占めだぞ」
ミ,,゚Д゚彡「皺くちゃは残念だけど、お肉が食べられるなら何でもするよ!」
ハインはニヤリとほくそ笑むと、その場で服を脱ぎはじめました。
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- 22 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:44:52 ID:tr2li7Pc0
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从'ー'从「ごほごほ、ごほごほ」
中に忍び込んでみると、お婆さんはベッドの上で横になっていました。
病気なのでしょうか。粗末なベッドがギッシギシと軋むくらいに大きな咳をしています。
このまま飛び出してドタマをカチ割ってやるのも一興でしたが、ハインは慎重な方法をとることにしました。
从 ゚∀从「こんにちは、お久しぶりですわ、お婆様」
素っ裸にバスケットだけを抱えたハインは、猫撫で声でそういうとお婆さんの部屋に踏み入りました。
从'ー'从「ごほごほ、おお、ハインかい? 大きくなったねぇ、今日はどうしたんだい?」
从 ゚∀从「お婆様がご病気になられたとお聞きしたので、パンとワイン、あとお見舞いのお金をもってきましたのよ♪」
从'ー'从「ごほごほ、そりゃあ嬉しいねぇ。でも、ここまで素っ裸で来たのかい?」
从 ;∀从「いいえ。でも途中で恐ろしい狼に襲われて、命からがら逃げてきたらこんな有様に」
从'Д'从「ダウト」
.
- 23 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:49:00 ID:tr2li7Pc0
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お婆さんはか細いものから一転、急に野太いを声を放ちます。
同時にベッドのシーツに隠してあったらしい、ピストルを構えるとハインに向けてきました。
从'Д'从「この森に住んでいる狼に人を襲えるような肝っ玉はねぇええなぁぁぁ」
从'Д'从「嘘ブッこきやがってこの糞ガキがよぉおお! テメェ、何が目的だコラぁ」
从;゚∀从「きゃ、きゃあ、どうしましたのお婆様? そんな怖いもの、こちらに向けないで!」
从'Д'从「うるせぇぇえええビチグソ! テメェ気持ち悪ぃ声でおちょくってんじゃねえぞボケ!」
从'Д'从「素っ裸で祖母の家を訪ねるアホがいるかってんだよぉおおおお――ッ」
从 ゚∀从-3
从 ゚∀从「バレちゃ仕方ねーな、ババア。テメー、孫娘にハジキ向けるとかイカれてんのかクズ!!」
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- 24 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 12:55:18 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从「でもよー、俺が素っ裸なのはマジだぜ」
从 ゚∀从「これじゃナイフ一本、石ころ一つ隠し持てないからな」
从'Д'从「ボケ! バスケットが怪しいだろうがボケ! カス! 捨てろ、こっちに寄越せ!」
从 ゚∀从「これには親父から預かってきた金が入ってんだよ。それはマジだぜ?」
从'Д'从「うるせぇぇぇええ! 金ならなおさら寄越せクソが! ドタマとワレメに風穴作りてーのかコラァアアア!」
唾を撒き散らして騒ぐお婆さんを前に、ハインは呆れ返りました。
想像通りのクズです。これならあの父親、自分という孫娘が生まれるのも頷ける話です。
しかし年寄りの構えたピストルが、いつ暴発してもおかしくはありません。
潔く、ハインはバスケットを床に置くとベッドの傍にまで蹴り滑らせました。
从'ー'从「それでいい。動くなよ、まだ銃口はテメーの方を向いているからな」
\从 ゚∀从ノ
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- 25 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 13:03:08 ID:tr2li7Pc0
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お婆さんは心底警戒しつつも、実際には裸のハインを前にして油断していました。
それが良くなかった。
从'ー'从「さーて、あのシミッタレ息子はいくら積んできたのか――」
バスケットに被せてあったハンカチをひらりとめくるお婆さん。
途端、バスケットから溢れ出てきた真っ黒い何かの塊に、彼女の顔はすっぽり覆われてしまいました。
从 Д 从「うぎゃああぁ」
叫び声を上げ、お婆さんは床に転がり落ちます。
バスケットからは、ブンブンブンブンと耳障りな羽音を鳴らして黒い大群が溢れ出ていました。
ハインは空にしたバスケットに蜂の巣を放り込んでおいたのです。
突然バスケットに押し込められた蜂の群れ、その怒りの矛先はお婆さんに向かっています。
从:::)Д(:::从「ひぃひぃいぃ〜〜〜」
大群の蜂に襲われたお婆さんの顔は真っ赤に腫れ上がり、目鼻の区別がもう付きません。
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- 26 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 13:09:43 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从「いまだ!」
ミ ミ,,゚Д゚彡 バリン
ミ,,゚Д゚彡「ガォオオ!」
ハインの合図で窓の外に待機していた狼が飛び込み、ぴくぴくと痙攣しているお婆さんの脳天に噛み付きました。
从:::)Д:∴。・ 「びぁああああああ――ッ」
頭の肉を、頭蓋骨と脳ミソごとごっそり噛み千切られたおばあさんは、悲鳴を上げて絶命しました。
ぽっかり空いた頭の空洞からどばどばと、血液と潰れた脳ミソがこぼれ出します。
ハインは手際よくシーツを振り回しながら、蜂の大群を窓の外へと追いやります。
最後に巣を外へと放り投げて完了です。
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- 27 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 13:16:31 ID:tr2li7Pc0
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ミ,,゚Д゚彡「ぼりぼり、皺くちゃだけど肉はやっぱり最高だよ」
从 ゚∀从「そいつぁゴキゲンだな」
お婆さんの死骸を貪り食う狼を尻目に、服を着直すとハインは家の中を駆け回ります。
引き出し、タンスの裏、食器と食器の間、額縁の裏。
至るところをひっくり返し、引っ張り出し、引きずり倒し。
ですが、“おみやげ”といえるような代物はどこにも見当たりません。
从 ゚∀从「おかしい……」
孫娘ですら容赦なくピストルを向けるようなお婆さん。
あれだけ警戒していたのは、この家に隠しておきたい物があるからでしょう。
恐らく父親の目当てはそれです。見舞金はその代金です。しかし肝心な物がありません。
イライラしたハインは、テーブルの上の皿から盛られたビスケットを一枚拝借します。
かじるだに不味い味が広がりますが、タバコが無い時はこうやってイライラをしのぐのです。仕方ありません。
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- 33 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 14:44:51 ID:tr2li7Pc0
-
ミ,,゚Д゚彡「くんくん、くんくん」
从 ゚∀从「おい! あんまクセー鼻息撒き散らしてんじゃねー。ケツ穴にババアのピストルブチ込むぞ」
ミ,,゚Д゚彡「くんくん、ごめんよごめんよ。でもいい匂いがするんだ、この家」
ミ,,゚Д゚彡「食べ物の匂いじゃあないけど、すごくいい匂いだ」
从 ゚∀从「?」
このまま家をひっくり返していてもらちが明かない。
そう思ったハインは狼の一言を信じ、彼に“いい匂い”の元を辿らせることにしました。
从 ゚∀从「ほれ行け! 警察犬のように性格に臭いを追跡しろよ畜生が」
从 ゚∀从「少しでも見当違いなモノ見つけたら、テメェのケツの穴へザーメンの代わりに鉛玉ブッ放してやる」
从 ゚∀从っy=ー ミ,,゚Д゚彡 チャキ
((从 ゚∀从っy=ミ;,,゚Д゚彡 ズブゥ
ミ,,;Д;彡「ひぃい――っ、尻が痛いよぅ」
从 ゚∀从「快くアナルを広げて下さったハイン様に感謝しろ犬っころ! ギャハハハハ」
.
- 34 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 14:52:14 ID:tr2li7Pc0
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狼は尻に無理矢理ピストルを突っ込まれました。
痛みに泣きながらも鼻はずいずいと匂いを辿ります。目は真剣そのもの。
少しでもしくじれば、ケツ穴と脳天が直通されてしまうでしょう。恐ろしくてたまりません。
ミ,,;Д;彡「匂いは外から強く匂って来るよぅ」
从 ゚∀从「はぁ? ボケ! さっき表にいた時はんなこと一言も言ってなかっただろうが」
从 ゚∀从「残念だったな役立たず。テメー、今度便所でクソひり出す時は一緒に脳ミソも漏らさないように気を付けな!」
ミ,,;Д;彡「ひぃ――っ、違うよ違うよ、裏口だよ」
ミ,,;Д;彡「外は外でも、匂いは裏口から家の中に充満してるんだよぉ」
ミ,,;Д;彡「痛いよぅ、ピストルを抜いておくれよぅ」
ハインは力一杯グリップを引くと、狼の尻の穴からピストルを引っこ抜きました。
見ればバレルにたっぷり糞がこびり付いています。汚い。
ハインは糞まみれのピストルを狼のぱっくり割れた口に押し込み、裏口のドアを蹴破りました。
.
- 35 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:04:43 ID:tr2li7Pc0
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从 ゚∀从
目の前に広がった光景に、ハインはぱっちり大きなおめめを開いて驚きました。
从*゚∀从「ハッパ畑だ!」
お婆さんの家の裏、ちょうど、うず高く積んだクズ鉄の山の死角。
そこに広がるのは青々と茂る背の高い植物です。アサです。
思いもかけず広い広いアサ畑は、サッカーの試合ができそうなほどの面積。
ハインは半ば狂乱しながら畑のど真ん中へと飛びこんでいきます。
从*゚∀从「ひゃひゃひゃ、ハッパだ、ハッパ天国だ、最高!」
从*゚∀从「もうケチな売人どもから、グラム10ポンドで買い付ける必要もない!」
从*゚∀从「バーチャン、センキュー! 愛してるぜ! 地獄で泣いて喜べや! ぎゃははは」
背中にしいたアサの山を豪邸のベッドのように、縦横無尽に寝転がりハインは歓喜の声を上げました。
吸い上げる湿った空気がすがすがしい。
たまらずハインはオナニーを始めました。興奮した勢いもあってか、感度も良好です。
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- 36 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:13:43 ID:tr2li7Pc0
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ミ,,゚Д゚彡「なんだぁ、葉っぱかぁ。美味しそうじゃあないなぁ」
从 ゚∀从「馬鹿抜かしやがって。このハッパの山見て嬉ションしねーのはお前くらいだぜ?」
从*゚∀从「これはな、肉より酒よりサイコーにブッ飛んだ代物だよ。比べ物にならねー」
从 ゚∀从「同時に金の山だ。これだけの量を独り占めして横流ししてたとはな、あのクソ婆ぁ」
从 ゚∀从「それもテメーの息子に流す時まで金要求しやがるとは」
从 ゚∀从「マジで殺しといて大正解の花丸ちゃんだぜ」
ミ,,゚Д゚彡「?」
クリトリスをひと摘み、「ウッ」と低い声を上げてイッたハイン。
彼女は絶頂の余韻に浸りきると、スカートの裾を整え立ち上がります。
从*゚∀从「これから楽しくなるぞ。俺たちは大金持ちだ」
ミ,,゚Д゚彡「大金持ちより大肉持ちがいいな」
从 ゚∀从「んなのどうでもいいんだよ低脳、とにかくまずは――……」
どんっ。
逸るハインでしたが、突然身をすくませます。
森の方から、とても大きな音が聞こえました。頭上を、驚いて飛び出した鳥たちが横切ります。
明らかに銃声です。ハインは身を強張らせました。
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- 37 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:23:00 ID:tr2li7Pc0
-
从 ゚∀从「なんだ……どこの誰がハジきやがった?」
ミ;,,゚Д゚彡「うぁあああ、そうだ思い出した。ここいらは有名な猟師の狩場なんだ」
ミ,,゚Д゚彡「きっと足跡を見つけて追っかけて来たんだ! 尻尾で足跡を消すのを忘れていたから……」
从 ゚∀从「ボケ! 何で猟師が獲物に位置を教えるように空撃ちするんだ? お前が逃げちまうだろ!」
ミ,,゚Д゚彡「違うよぅ、獲物は僕じゃないよう」
ミ,,゚Д゚彡「多分見つけたのは君の足跡だよう……」
从 ゚∀从「?」
ミ,,゚Д゚彡「その猟師の何が有名って、森に迷い込んだ子供を動物と間違えて撃ち殺すんだ」
ミ,,゚Д゚彡「 わ ざ と 」
ミ,,゚Д゚彡「んで殺した子供を犯して、その肉を動物のだって言って街に売りに行くんだ。動物の間じゃ有名なんだよう」
从;゚∀从
クズのハインも、さすがにこの話にはめまいを覚えざるをえませんでした。
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- 38 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:34:04 ID:tr2li7Pc0
-
ミ,,゚Д゚彡「だからきっと、君も殺されて犯されて捌かれちゃうよう」
从 ゚∀从「そんな変態が平然とメシ食ってるかと思うと、世も末だな」
从 ゚∀从「割れ目にディックをブチ込まれるのは嫌いじゃあねーが、俺が死んだあとはごめんだ」
从 ゚∀从「上等、先にそいつのドタマ吹っ飛ばして死体でふにゃちんファックしてやらぁ」
ハインは逆に闘志を抱くと、狼の口に放り込んでいた糞まみれのピストルをフンだくります。
それをスカートのベルトに挟みこむと、家に戻り、お婆さんのベッドの下を探ってみました。
案の定、使い古したマスケット銃と火薬・弾一式がしまわれていました。
マジでイカレた婆さんです。これで何人の額をブチ抜いたことでしょう。
銃剣が無かったので、台所の包丁を代わりに番えて準備万端です。
こっそリと窓に忍び寄り、外の様子を伺えば――……いましたいました。
('A`)
貧相なツラにひょろ長い体躯。
長っちょろいライフルを抱えて、ハインの足跡を辿りながらこちらに近付いて来ます。
目はぎらぎらと光り、猛禽のそれによく似ていました。
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- 39 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:45:08 ID:tr2li7Pc0
-
从 ゚∀从「声を出すなよ」
ミ,,゚Д゚彡「きゅぅーん」
从 ゚∀从「んでドアが開いたら思い切り鳴け」
ミ,,;Д;彡「きゅぅーん」
狼にそう指示をすると、ハインは玄関のドアの傍を陣取ります。
そしてできるだけ身を小さくして、マスケットに弾を込めました。
ハインの作戦はこうです。
玄関から入って来るであろう猟師を撃退するためには、隙を作らなければいけません。
相手はプロです。素人の小娘がまともにやっても相手にはならないでしょう。
ですから、ちょうど玄関に踏み入った瞬間に狼に囮になってもらうのです。
限界まで神経を研ぎ澄ませた猟師。
物音がすれば嫌でもそちらに反応せざるをえません。
最悪それで狼が撃ち殺されても、ハインは痛くもかゆくもありません。
しゃぶるディックが無くなるだけ、とでも思っているのでしょう。
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- 40 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:49:44 ID:tr2li7Pc0
-
まともに撃ったことのないマスケットですが、この距離なら当たるとふんでいるのでしょう。
从 ゚∀从 (来いや、ドグソ野郎)
暗がりの中でほくそ笑むハインは、玄関のドアを今か今かと睨みつけます。
しかし、やはり糞ガキの浅知恵。
プロの、しかも人殺しのプロの裏をかこうなどおこがましい行いでした。
なかなか開かない扉に、なんだか嫌な予感がいっぱいに広がっていく、その時。
がしゃん。
後ろで物音がしました。
从;゚∀从「!」
驚くハインが振り返り切る前に、ばすんという音と共に彼女の肩が弾けました。
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- 41 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 15:56:16 ID:tr2li7Pc0
-
从 ∀从「ぎゃあああ」
焼けた鉄の棒でも押し当てられたかのような痛みが、ハインの小さい脳ミソを蹂躙します。
狼が吠えています。マスケットを落とした音がしました。ガラスを踏む音が聞こえます。人間の足音です。
全てが遠く、遥か彼方から聞こえるようでした。
痛みはハインの意識を吹き飛ばそうとしていました。
('A`)
ちょうどハインの裏へ着地するように、迂回した先の窓を突き破って侵入した猟師。
彼は煙を上げるライフルの銃口を下げると、それを投げ捨て、代わりに腰からナイフを抜きました。
その間、僅か数秒。一切の躊躇なく、まるでこの構図を知っていたかのようなスムーズさで。
男は「うぅ」とか「オラ」とか、一言も声を上げることなくもがくハインを組み敷きました。
前髪を乱暴に掴み、床へ押し付け、一撃、二撃。
从 ∀从「うぅ、うげっ」
額を二度、木目に打ち付けた後にぴたりと。
首筋にナイフの刃をあてがいました。
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- 42 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:01:18 ID:tr2li7Pc0
-
('A`)
相手になりませんでした。
間違いなく相手はプロフェッショナルでした。
人殺しのプロです。きっと動物を殺すよりも上手いでしょう。
殺しにかかってくるハインの騙し打ちなど、警戒出来て当然のようでした。
从 ゚∀从 (殺される……!)
せっかくハッパ天国を見つけたのに、何ということだ。
諦めきれない心と、どうしようもないと絶望する心がそこには在りました。
しかしハインが刹那にそんな葛藤をしようとも、男は止まりません。
殺しにきます。トドメを刺しにきます。そして、その後でハインの身体をたっぷり満喫するつもりなのでしょう。
白いナイフが、滑るようにハインの喉元へ。
ミ,,゚Д゚彡「ギャイン!」
しかしそこで狼が飛びかかりました。
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- 43 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:10:42 ID:tr2li7Pc0
-
('A`)「!」
初めて猟師が動揺らしい動揺を見せました。
狼に飛びかかられるまま、床の上をもんどり打ちます。
解放されたハインは押し潰された喉が解放されたこと、呼吸ができること。
ナイフは首を裂く前に弾かれたこと。一つ一つを、白黒する視界の中で確認します。
そして振り返った時、既に揉みくちゃになっていた狼の額へナイフが突き立っていました。
ミ,, Д 彡「ぐぅ……」
小さく唸り声を上げて、狼は動かなくなりました。
そのまま、起き上がった漁師に死骸は蹴っ飛ばされます。
痩せ細った四肢は投げ出され、床の上に横たわる彼は二度と起き上がりませんでした。
ですが表情は、とても穏やかです。
从 ゚∀从
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- 44 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:16:22 ID:tr2li7Pc0
-
ハインにとっては、所詮一日二日ほど共に行動をし、ペニスをしゃぶっただけ。
あるいは都合のいい奴隷、その程度の関係だったのでしょう。
しかし狼にとっては、いざハインが殺されるその瞬間に飛びかからざるを得なかった。
そういう間柄だと、彼は感じていたのでしょう。
もうそれを確認することはできませんが。
从 ゚∀从「――――っ」
どちらにせよ、生き残るには猟師を殺すしかありませんでした。
ので、ハインは迷わず腰のピストルを抜くと、床に尻餅を突いている猟師の額に狙いを付けました。
从 ゚∀从「ブルズアイ」
――BANG
.
- 45 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:21:03 ID:tr2li7Pc0
-
( A )
額に風穴を開けた猟師は、大の字になって動きません。
恐ろしいクソ野郎でした。殺されれば、もっと恐ろしい目にあっていたかもしれません。
殺されるよりも恐ろしいことがあるとすれば、ですが。
从;゚∀从「ウゥゥウゥ――っ」
ハインは肩を撃たれました。
痛みは消えません。じんじんと熱く重く、そこに留まっています。
おまけに酷い出血でした。止血しなければ死ぬかもしれません。
せっかく拾った命、ハッパ天国のためにもどうして死ねましょうか。
しかし、そんな暇はありませんでした。
ζ(゚、゚;ζ「きゃあああああ」
玄関に叫び声が上がります
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- 46 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:27:45 ID:tr2li7Pc0
-
そこに立っていたのは、金髪巻き毛の可愛らしい女の子でした。
青い目に長い睫毛、桜色の唇に真っ白な肌。
ブロンド頭をすっぽりと赤い頭巾で覆い、肩にも同じ色のケープをかけています。
ちいさくて、ころころして、どこからどう見ても万人が可愛らしいとこの子に言うでしょう。
その手には、パンとワインが覗くバスケットがかかっています。
ζ(゚、゚;ζ「一体、いったい何が」
ζ(゚ー゚;ζ「おばあさんは、おばあさんはいらっしゃらないのですか?」
ζ(;、;*ζ「あぁ、そんな人が、人が死んでいる……ひぃ! 狼まで!」
尋ねる家でも間違えたのでしょうか、慌てふためく少女は目を泳がせます。
視線が狼、猟師、ハイン、部屋、裏口、その奥のアサ畑に移り踊っています。
見られてしまいました。死体も、ハッパ畑も。
从;゚∀从「てめぇぇぇ、そこを動くなぁあああ」
ハインはピストルを握り直すと、肩の痛みも余所に立ち上がりました。
ζ(;、;*ζ「きゃああああああ」
赤ずきんの女の子は一目散に逃げました。
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- 47 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:31:49 ID:tr2li7Pc0
-
逃がしては、ハッパ畑のことがバレてしまいます。
殺しは仕方ないとして、ハッパ畑だけは守らなければなりません。
あれは楽園です、あれは金の山です。あれは誰のものでもなく、自分のものだ。
ハインは、そう考えていたのでした。
だから逃げ出す少女の背中を追いました。
赤い衣装が目立ちます。とりあえず追いかけさえすれば、見失うことは難しい。
しかし体力が限界でした。走って走って、肩から噴き出る血の量がより一層ひどくなりました。
立ち止まっては見失うでしょう。走らなければなりません。
从;゚∀从「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
せめて、ピストルの射程に捉えなければ。
ハインは懸命に森の中を駆けます。
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- 48 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:37:15 ID:tr2li7Pc0
-
見覚えの無い道でした。
見覚えの無い景色でした。
見覚えの無い空でした。
ハインはただ女の子の背中を追います。
追って、ほんのちょびっとでも弾が当たる位置にまで近付ければ良いのです。
ですが、出血しながら走り続けるのは苦しいばかりでした。足は鉛のように重くなっていきます。
从 ∀从「ぜひぜひぜひぜい、ぜひぜひ、ぜひ」
ここがどこかも分かりませんでしたが、ハインにはもうそんなことはどうでも良かったのです。
赤ずきんの女の子を殺すことしか、頭になかったのでした。
やはり、アホだったのです。
やがて、鬱蒼とした木立が開け、日の光がまぶしい広い空間に出ました。
森の出口です。
ζ(;、;*ζ「誰か、助けて、助けてぇぇえ」
赤ずきんがいました。
.
- 49 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:41:49 ID:tr2li7Pc0
-
ちょっと離れた所に、背の低い屋根がたくさん見えます。
村なのでしょうか。ハインは近くにこんな村があったことなんて知りませんでした。
しかし、全てはどうでもいいことです。
从;゚∀从「ハァ――ッ! ハァ――ッ! ハァ――ッ! ハァ――ッ!」
ハインはピストルを構えました。
ζ(;、;*ζ
これだけ開けていれば、運が良ければ足にでも当たるかもしれません。
迷わず弾いた引き金。銃声は高い空にめいっぱい轟きました。
ばん、と。
ζ(;、;*ζ「あ゛――っ?!」
ばたり。
赤ずきんが道の途中で倒れました。命中したのです。
.
- 50 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 16:53:14 ID:tr2li7Pc0
-
从 ゚∀从「やった……やった……」
ハインはふらつく足を引きずりながら、少女の傍にまでやって来ました。
ふくらはぎに赤い弾痕があります。真っ白な肌とのコントラストが鮮明です。
これでは動けないはずです。あとはトドメを刺すだけ。
ハインは、先に猟師が自分にしたように彼女を組み敷き、か細い首に両手をかけました。
ζ(;、;*ζ「う、ぐ、あ」
从#゚∀从「ハッパ天国は俺のものだぁああああ――っ!」
从*゚∀从「ギャアアアハハハハハハハ、死ね、誰か知らねーけど死ね、死ね!!」
ガラス細工のように脆いその首は、くたくたになったハインの力でも簡単にぽきりといきそうです。
あと一ひねり、あと一ひねりで殺せる。
そうハインが思った瞬間、今度はさっきと逆の肩が弾けました。
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- 51 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:00:25 ID:tr2li7Pc0
-
从 ∀从「ぎゃあああ――ッ!」
これは溜まりませんでした。
痛みは電流のようにハインの脳髄を焼き切り、意識を失った彼女はあっさりと手を離しました。
ばたりと背中から地面に倒れたハイン。悲鳴を上げながら、赤ずきんは彼女から這いずって逃げます。
(,,゚Д゚)「大丈夫か!」
( ・∀・)「悲鳴が聞こえて駆け付けたら……赤ずきんちゃん、怪我は?」
(;゚ー゚)「痛くない? まぁ! 足が、大変!」
ζ(;、;*ζ
ハインの肩を撃った者も含んで、集まってきた村人たちは赤ずきんを保護します。
同時に、鍬や鋤を構えて気絶したハインの周りを取り囲みました。
ハインは意識が無いのですが、彼らにはそんなことは知る由もありません。
じりじり、じりじりと包囲を狭めていきます。
(;,,゚Д゚)「誰だこいつは……見たことのない顔だ」
( ・∀・)「危ない奴には変わりない。気絶しているのか?」
(,,゚Д゚)「赤ずきんちゃんを手にかける前に、弾が当たって良かった。死んではいないみたいだが」
( ・∀・)「……森に捨てて来るか、ここで殺すべきじゃあないかな」
.
- 52 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:04:59 ID:tr2li7Pc0
-
/ ,' 3「いいや、ここで殺しても意味は無い。こ奴はきっと魔女じゃ!」
(;,,゚Д゚)「村長!」
( ・∀・)「こいつが魔女だって?」
/ ,' 3「そうじゃ、あんな恐ろしい所業を、それもあんな小さな女の子に犯すなど」
/ ,' 3「魔女以外に考えられん。鍬や鋤で叩き殺しても意味は無いぞ。きっと殺しても直に蘇る!」
(;,,゚Д゚); ・∀・) ゴクリ
(;,,゚Д゚)「お、俺たちはどうすれば」
/ ,' 3「簡単じゃ。気絶している今の内に、こいつを縛り上げよ」
/ ,' 3「そして村へ運んだ後、火あぶりの刑じゃ! 幼い少女を殺そうとした罪は重い、死罪じゃ!」
( ・∀・)「村長がそう言うなら……」
(;゚ー゚)「違いないわ! 赤ずきんちゃんみたいに可愛い子を、どうして殺そうと思えるのかしら!」
(,,゚Д゚)「皆、こいつを縛り上げて村へ運ぶんだ!」
「そして火あぶりの準備をするぞ!」
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- 53 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:10:51 ID:tr2li7Pc0
-
ハインが目覚めたとき、彼女は宙に浮かんでいました。
从 -∀从
从 ゚∀从「うっ……」
よく確認すれば、彼女は浮いているのではなく杭に縛り付けられていたのでした。
肩の痛みにつられて、開かれた視界には見覚えのない顔、顔、顔。
皆がハインを憎らしげに見つめては、周りの者と耳打ちしています。
キレやすいハインは、その光景に何だか無性に腹が立ちました。
从 ゚∀从「なんだこのクソボケどもが! ここはどこだ、クソ!」
足元にはたくさんの焚き木が組まれています、どういうことでしょう。
ハインは訳が分からぬままに、周りの者へ罵声を浴びせ続けます。
その度、彼らは深い嫌悪に満ちた目でハインを一瞥するのでした。
从 ゚∀从「くそ、くそ、いったい何なんだ」
/ ,' 3「皆の者よ、よく聞けぃ!」
視界の端で、年老いた男が声を上げるのが見えます。
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- 54 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:18:27 ID:tr2li7Pc0
-
/ ,' 3「この者はどこぞの出身とも知れぬが、大罪を犯した!」
/ ,' 3「幼い少女に凶弾を浴びせ掛け、さらに組み敷きとどめを刺そうとした」
/ ,' 3「未来あるか弱い命を奪おうとするのは、悪魔の所業! まさにこの者は悪の権化」
/ 。゚ 3「魔女だ!!」
从 ゚∀从「???」
ハインには全てが初耳で、意味不明です。
自分はただ、ハッパ畑を守るために目撃者のガキを一人始末しようとしただけです。
それが、魔女だとか悪魔だとか、訳の分からないことを言われてもお門違いです。
从 ゚∀从「おい、お前ら何か勘違いしてるみたいだけどよ」
从 ゚∀从「俺はただ都合が悪いからあのガキを殺そうとしただけで、他に悪いことなんざしてねえ!」
从 ゚∀从「悪いのはあのガキだ! あのガキは殺されて当然のことをした、だから殺そうとしたんだ」
从 ゚∀从「だから放せこのビチグソども! ブッ殺されてえのか!」
縛られても尚、ぎしぎしと杭を軋ませて暴れようとします。
その姿を見て一層、人々は慄き恐れ、口々に「魔女」と罵るのでした。
.
- 55 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:29:37 ID:tr2li7Pc0
-
/ 。゚ 3「見よ、もはや弁明の余地もなし。この者を魔女と信じぬ者はおるまい」
/ 。゚ 3「村長の権限を持って、この者を火あぶりの刑に処す。悪魔は灰と化すのだ!」
从 ゚∀从「な、何言って」
/ ,' 3「火を放てぇ!」
从 ゚∀从「!」
男が一人ハインに近付いて来ます。
噛み付かんばかりに歯を剥くハインを尻目に、彼は黒い頭巾を、
黒い頭巾をハインの頭にすっぽりと被せました。
从 从「もがー! も゛ー、お゛ー!」
そして周りで待機していた別の男たちが、手に手に松明を焚き木へと放り込みます。
油でも染み込ませていたのでしょうか。恐ろしい速度で火は燃え上がり、あっという間にハインを取り囲みます。
この熱さと恐怖ばかりは、ハインもただ叫ぶしかありませんでした。
从 从「あー! あー! あづい、あーああああ゛あああ」
从 从「ぢくしょう、なんで、あああああ、何でこんなことに!」
从 从「俺はただ自由になりたかっただけなのに」
从 从「俺はただ好き勝手に生きたかっただけなのに」
从 从「あああああぁ、ああぁあ、あぁあああああついあああああああついいいい」
.
- 56 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:33:05 ID:tr2li7Pc0
-
「も゛あああああああああぁあぁぁぁああ――……!!」
くぐもった叫びが村に轟きました。
ハインの生きながら焼かれる臭いと煙は、もうもうと空へ昇っていきます。
ハインの生まれ故郷のような、腐ったような曇り空ではありません。
澄み切った青空です。ハインのように汚れて腐ったものなど必要ないかのような、美しい空です。
そしてその美しい空の下で生きて、愛されていいのは、
ζ(゚ー゚;ζ
彼女のような少女だったのです。
ハインには、生きる価値も資格もなかったのです。
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- 57 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:38:11 ID:tr2li7Pc0
-
――――――
――――
――
ξ゚听)ξ「じゃあ赤ずきんちゃん、気を付けてね」
ξ゚听)ξ「森は狼がいてとても危ないから、用心してお婆さんの家に行くのよ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、お母さん!」
あれから数ヵ月後。
赤ずきんちゃんは、足の怪我も良くなりお婆さんの家に行けるくらい元気になりました。
大人たちはとても心配しましたが、赤ずきんちゃんが大丈夫だと言い張るので仕方なくおつかいを許したのです。
ので、今日も彼女は元気に一人でおつかいに向かいます。
バスケットにはパンとワイン、お婆さんの大好物です。
ζ(^ー^*ζ「♪らん、らんららん、らんらんらん、ららん」
赤ずきんちゃんは心地良い鼻歌を唄いながら、軽やかなスキップを踏み、森へと向かいます。
.
- 58 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:47:22 ID:tr2li7Pc0
-
結論から言えば。
この後、赤ずきんちゃんは狼に出会い、道草を食うよう誘う彼の口車に乗ってしまいます。
まんまと赤ずきんちゃんを騙した狼は、先回りしてお婆さんの家に向かい、彼女を丸飲みに。
そしてお婆さんになりすましてから、訪れた赤ずきんちゃんを出迎え、これもぱくり。
ですがお腹いっぱいになった狼は眠くなってしまい、その間に異変に気付いた勇敢な猟師によってお腹を裂かれてしまいます。
彼の活躍でお婆さんと赤ずきんちゃんは傷一つ負うことなく無事に救出され、当の狼はお腹へ代わりに石を詰め込まれます。
何も知らずに目覚めた狼は水を飲みに行こうとして、身体の重みに耐えきれずに井戸へぼちゃん。
めでたし、めでたしです。
ですがもし仮に、めでたくない結末を迎えた者たちがいたとして。
この物語の裏で、人知れぬ悲劇を被った――例えば黒い頭巾を被せられ火にくべられた少女がいたとして。
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- 59 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:49:46 ID:tr2li7Pc0
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とかく、日ごろの行いが悪すぎたのでしょう。
彼女の物語が語られることなど、恐らく永遠にありえないのでしょうね。
めでたくない、めでたくない
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- 60 : ◆2ill5lnWKg:2010/09/05(日) 17:52:59 ID:tr2li7Pc0
-
終わりです。
色々とごちゃごちゃしていましたがとりあえず終わりました。
色々と残念ですが、とりあえず自分の三国志はこんな感じでした。
色々と運が無かったのです、色々と。
ともかく途中レスをくれたり、呼んでくれた方、ありがとうございました。
では失礼をば。
.
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