( ^ω^)ブーンたちが戦場を駆け巡るようです
44 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:14:06.82 ID:FxaSeZxk0
あまり広くはない集会室のような場所、
そこでは、ある会議が行われていた。
酷くやつれている者もいれば、若々しいものもいる。だが多くは中年の男性だ。

「……他に案のある者はいるか」

円状の机に、20人ほどついている。
その中の一人が周りに問いかけた。

静まり返る気配はないが、意見を述べる気配もない。
意見を出そうとしているが、出ない状況である。

「…………では諜報員を選出する事にする、異論のある者は出て行くといい」

周りが静まり返った。

50 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:15:47.94 ID:FxaSeZxk0



この会議の内容、それは石油の輸出禁止措置の事。
そして、措置を取った後に起こるであろう、事態の処理の方法についてだ。

何故石油の輸出を禁止するか。

軍の佐官、将官達がVIPの軍事力が上がるのを危惧したからである。
VIPは最新兵器などの開発力はとても高く、それらで攻撃されるかも分からないためだ。
しかし原料はこちらの国、ラウンジからの輸入に頼りきりだった。

その原料の一つである石油。
これを輸出禁止にすれば、兵器開発のスピードが緩むだろう。
との考えから、禁止措置を取る事となった。

だが、問題はまだあった。

禁止措置を施行する、そこまではいいのだ。
それからVIPが何をしてくるかわからない、
最悪の場合は、戦争を仕掛けてくる可能性もある。

VIPの情報を得る、仕掛けられた場合は戦争を有利に展開する為に諜報員が必要となった。
会議では、今まさにその事について話し合っている。

53 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:17:20.55 ID:FxaSeZxk0
長い長い沈黙の後、一人が手をピンと掲げた。
会議の中心であろう人物は、その者を指名した。

「……何か意見でも?」

指名された者は、特に萎縮もせずに答える。

「少しその方法は危険だと思います、ここにいる人は殆ど顔が知られています。
 更に、顔の知られていないような者は、能力が高くないものが殆どです」

一息ついて、彼は続ける。

「そんな人間が向こうに潜り込んだところで、重要な情報を持ち帰れるわけがないと思います。
 普通に考えれば一兵卒、運が良ければ尉官クラス程度だと思います。
 そのような地位で、どうやって情報を聞き出すのですか? 自分は無理だと思います」

他の人間は、皆黙って意見を聞いていた。
しかし意見を言い終わった後でも、誰一人として口を開く気配はない。

「……確かにそうだ、しかし……それ以外に方法がない」

会議を進めていた者が口を開いた。しかし、「それ以外に方法がない」としか言えない。
先ほどの意見が正論であるが、他の意見も出ないからである。

その場の全員が、この状況に四苦八苦している。

59 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:20:03.35 ID:FxaSeZxk0
だが、一人だけ嬉しそうな顔をしている、妙案でも思い浮かんだような顔である。
その男は、手を上げる前に指名された。
それが別に普通であるかのように、彼は答えた。

「だったらさ、能力があって、今特別な仕事も無い奴が行けばいいんじゃないのかな? かな?」

無謀だ、誰もがそう思った。

「……君は自分の地位を過信しすぎているんじゃないかね? そんなことできるわけが無いだろう
 もし死んだとしたら、戦争は起きる、将校は失う、良いことがないじゃないか」

ある一人が、その場の皆の意見を代弁したかのように、意見を出した男に言った。
聞くまでもなかった、誰もがそう思い次の案を考え始めたときである。

また彼が口を開いた。

「んじゃ俺が行きますよ。特別な任務もないし、言えないけど秘策だってある。
 絶対死にません、ここまで言っても駄目ですかね?」

何も恐れることなく、彼は言い放った。
誰もがその意見に固まり、何も言えない。
更に彼は怯むことなく続けた。

65 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:22:00.08 ID:FxaSeZxk0
「何も言わないんですね? じゃあ決定でいいですよね?
 いい加減うんざりしてるんですよね、保守的で。
 戦争で負けて植民地になるのと、一人の将校が命張って情報を持ってくるの、
 俺だったら後者を選びますね、自分が犠牲になってでも」

言いたい事をすべて出したのか、すっきりした顔で立ち上がり、
スキップでドアに向かいさっさと出てってしまった。

その男こそ、ラウンジ軍中将流石兄者である。









( ´_ゝ`)y=ー 兄者の007のようです

69 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:23:37.90 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「警戒しすぎだとは思うがね、でも仕方ないか」

会議でもあったが、なぜ将校達がここまでVIPを警戒しているのか。
それは今年はじめに起きたあることが原因である。VIPとラウンジの間で起きた、小規模な空戦だ、
その結果は……ラウンジが飛行機で圧倒的な性能差を見せつけて、VIPは惨敗。

その「惨敗」という結果から、VIPはラウンジに遅れをとらないように、更には抜かすほどの勢いで兵器開発を続けている。

だが開発を食い止めるための輸出禁止措置、それが空戦の仕返しの口実になるのではないか。
軍の上層部はそのようなことを心配して諜報員を出そうと躍起になっていた。

しかし上層部といえば中年から老年までが多い、要するに老獪な者ばかりだ。
保守的な考え方が中心となってくるわけで、話し合いが早く済むわけがない。
その状況に嫌気が差し、自分からやると言ってきたのがこの流石兄者である。

( ´_ゝ`)「全く……あんな会議進むどころか終わるわけないだろ……」

若干28歳という年齢にして中将という位についている。
司令官としての能力は地位が示す通り高い。
それに、頭の固さは微塵にも無い。上に立つ人間の中に、一人は絶対に欲しい人間だ。

そして双子の弟がいる、戦場ではよく共に出撃して抜群のコンビネーションを見せる。
今回その弟は兄者が集めた情報を処理する係についた。

74 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:25:25.60 ID:FxaSeZxk0









兄者が諜報員になることが決まって数日後。

( ´_ゝ`)「…………明日から俺はVIPの兵…………明日から俺は……」

(´<_` )「おk、そこまで暗示をかけなくても大丈夫だ」

今自己暗示をかけていた兄者に、突っ込みを入れていたのが弟の弟者だ。
頭は固くないが、少し抜けているところがあるためいつも弟者がサポートしている。

だが、今回ばかりは兄者も少しばかり元気が無い。
不安なのだろう、今回は小さな任務ではないからだ。

最悪の場合には、戦争にもなりかねない。
そのため、兄者の緊張もいつもより大きかった。

77 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:28:16.77 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「……自分から立候補したけどできるのかな……」

兄者もまだ若い、でも命の覚悟はできていた。
では何が怖いのか? 任務失敗が怖いのだ。
順調にこの地位まで上り詰めてきた、ほぼミスをすることなく。

一回の失敗で自分の価値が薄れるのではないか。
一回の失敗でこの地位から引きずり落とされるのではないか。
一回の失敗で――――――――――――――――――――――

任務中はいつもこのような不安と戦っている。

(´<_` )「なに、今更できないと言えば首が飛ぶこと……それくらい分かっているだろう」

弟者はさりげなく残酷な一言を言い放つ。
彼なりに兄を思ってのことなのだ、もうやるしかない、そう思わせるしかないと悟ったのだろう。

(´<_` )「こちらからできることなら何でもする、ただし……初めのうちは監視が厳しいのでしばらく連絡は取れんがな」

( ´_ゝ`)「……わかってる」

いつもの彼とは程遠い、僅かに不安を感じさせる声で返事をした。

82 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:30:53.98 ID:FxaSeZxk0
少し元気をなくした兄者は自室に戻った。
そして作戦の内容の確認をする、

兄者が諜報員として潜り込むの作戦はこうだ。

数日後、兄者はVIP軍へと投降し行く、勿論虚偽だ。
そして何らかの方法で信頼を得て、情報収集を始める。それをラウンジにいる弟者に伝える、というものだ。

しかしこの作戦は普通なら上手くいくわけがない。
常識的に考えるとまず信用されないだろう、一国の中将が投降してくるのだ。
信用を得る以前に、潜り込むことすらできはしない。

しかし彼には秘策があった。
彼はVIP軍に友人がいる、小中学校時代を共に過ごした、幼馴染ともいえる存在だ。

しかも中途半端な地位にではない、大将位である。VIP軍の頂点に立つような人間だ。
その頂点の人間の信用さえ得られれば、周りの信用を得ることはかなり楽になるだろう。

というよりも多くの人間が、
「信用しなくてはならない」、「信用してるフリをしなければならない」という状況に陥ることになるはず。
兄者はそう読んでいた。

前々から軍内で不満があれば愚痴ることもあった。
ラウンジ軍に不満を抱いていてもおかしくない愚痴をこぼしたことも。
VIP軍に入り、信頼を得られるのはそう遠くないだろう。2年あれば中佐ほどにはなれるだろう、兄者はそう思っていた。

87 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:32:25.04 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「……大丈夫かな……まぁ、すべてはあいつ次第だがな」

彼はそう呟き、椅子に腰掛けながら煙草に火をつける。
辺りに煙草特有の、しかしさわやかな香りが広がった。
そこまで吸うわけでもないが一日必ず3本は吸っているという。

心を落ち着かせるためには必要なのだ、以前彼は弟者にこう話していた。


( ´_ゝ`)y-~~「………………ふぅ……」

深くため息をつく

( ´_ゝ`)y-~~「………………すぅ……」

深く息を吸う

(;´_ゝ`)y-~~「ゴェェ!!ガハッ!ゴェェェ!!」

思いっきりむせる

(´<_` )「うるさいぞ兄者」

94 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:35:06.72 ID:FxaSeZxk0
この二人の部屋は隣であり壁も薄い、一人で何をやってるんだろうということで弟者が覗きに来たらしい。
兄者は煙草の火を消し机の間に座る、弟者もそれを待っていたかのように向かい側に座る。

(´<_` )「……緊張するのも分かるけど楽にしてろ、そうでなきゃ失敗はしないはずだ」

先ほどとは違い、素直に兄者を励ましている。
よほどそれが珍しいのか、兄者は目を丸くした。

( ゚_ゝ゚)「頭でも打ったか……? お兄ちゃんが病院に連れてってやるぞ?」

(´<_` )「今回ぐらい真面目に話しを聞け、直接話すのは最後かもしれんからな」

(;´_ゝ`)「むぅ……」

(´<_` )「兄者の考えた作戦なら潜り込めないことはないだろう、これは誰が聞いてもそう思うはずだ。特にあの御人好しが騙す相手だからな」

弟者の言う御人好しとはVIPの大将のことだ、人を信じやすいことからラウンジ軍からはそう呼ばれている。勿論良い意味ではない。
赤の他人でさえ信じてしまうこともあるような男だ、幼馴染を信じないわけがなかった。

次の言葉を発する前に弟者の雰囲気が少し変わる。
いや、変わったのは雰囲気だけではないようだ。

(´<_` )「俺が言いたいのはな……とりあえずヘマをやらかすなよ……?」

いつもとは違う声の調子、まるで息子を心配する母親のような声。
自分の地位ゆえの心配が、彼にもあった。

98 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:37:00.72 ID:FxaSeZxk0
そこで兄者は気づいた、自分だけが高すぎる地位に不安になっているわけではないと。

( ´_ゝ`)「……必ず生きて帰ってくるさ、失敗もせずにな」

不安になっていた自分の心を紛らわすかのように、彼は自信満々に言い放った。

(´<_` )「…………それでこそいつもの兄者だ」

いつもどおりの兄者に安心したのか、弟者は気が抜けたようにその場で寝てしまった。
その弟者の様子を見て、兄者は小さな声で呟く。

( ´_ゝ`)「………………こりゃ自分の国のために頑張るって物じゃないな、うん」

弟が安心して寝られるよう、平和な世の中を作る。
自分の命を懸ける理由としては充分だと思う。
また彼は呟いた。






それから数日後、兄者はVIP軍に投降しに行った。
予想通り、大将は素直に受け入れてくれた。

ただ、最初の一年ほどは警戒が拭えない。
とのことで、大将の監視下に置かれることになった。

歓迎の挨拶とのことで、その大将自ら出迎えてくれた。

101 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:38:18.10 ID:FxaSeZxk0
(=゚ω゚)「お前がこっちに来てくれて嬉しいよぅ、共にラウンジを殲滅できるように頑張るよぅ」

VIP軍大将、伊要である。
ボサボサに伸びた無精髭と頭髪、豪傑に見える顔は少しやつれていた。
見た目とは裏腹に、部下や他人の気持ちをよく考えて行動している。

それは兄者自身がよく知っていた、だからこそこの男の発言には驚いた。

「ラウンジを殲滅」

この言葉を聞いたとき兄者は、平静を装ってはいたが、内心かなり動揺していた。
誰よりも平和を望み武力解決を嫌っていた男が……まるでこれから戦争が始まるような。いや、始めるような言い方をしている。
しかし折角潜り込めそうなのだ、ここで面倒ごとを起こす必要はない、彼は頷く程度の返事をした。

(=゚ω゚)「反応が薄いよぅ、今から部屋に連れて行くよぅ、荷物はそこらへんの兵にでも持たせるけどどうするよぅ?」

( ´_ゝ`)「いや、大丈夫だ。他の兵に悪いしな。ところで俺はお前にどういう言葉遣いをしたほうがいい?」

(=゚ω゚)「今迄通りでいいよぅ、まぁ、でも自分の好きなようにするよぅ」

そう言って伊要は足早に歩き始めた。
そのあとに兄者が急いでついて行く、しかし道順などは気にも留めていない。
友人の変わり様に、驚きを隠せず、落胆していた。

( ´_ゝ`)(戦争って…………ここまで人を変えるものなのかね……)

改めて戦争の愚かさ、醜さを知った兄者だった。

104 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:40:27.32 ID:FxaSeZxk0
兄者が伊要に案内されて着いた部屋は、まだ寝返ったばかりで信用のないものには、豪華すぎるものだった。
ラウンジの中将部屋より少し狭いぐらいである
兄者に、こんなもの使っていいのだろうか? と思わせるぐらいの待遇だ。

(=゚ω゚)「なんだよぅ、不服かよぅ」

目をぱちくりさせている兄者に向かって伊要は言う、

(;´_ゝ`)「いや……信用ないのにこんな部屋使っていいのか……」

伊要はそれが、さも当たり前であるかのように答えた。

(=゚ω゚)「俺はお前を信頼してるよぅ、でも体裁というものがあるよぅ。
     この部屋は自由に使っていいけど、見張りとして俺がたまに入ってくるよぅ。
     その侘びって形……みたいなものかよぅ、まあ遠慮はするなよぅ」

ここまでくると良い人では済まない、只の愚か者だ。軍の頂点に立つような人間なら尚更だ。
それを打ち消すような実績があるのか、人材がいないのか、ただ気づいてないだけなのか、兄者にはわからなかった。

部屋の備品の説明をしたあと、伊要はすぐに去って行ってしまった。
兄者は机につき、備え付けの煙草をくわえ火をつける。

不味い、彼がまず思ったことはそれだった。ラウンジの煙草とは味が違いすぎる。
咳き込みながら、兄者はベッドへと向かっていき寝転んだ。

( ´_ゝ`)「潜り込み……成功っと……」

そう言って握りこぶしを作った。
彼にとって、何かを決意したかのような行為だった。

106 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:42:04.80 ID:FxaSeZxk0
彼は無事VIP軍に潜り込んだ後、着実に仕事をこなしていく。
それはVIPの為であり、間接的にラウンジの為にもなっているのだ。
気づけばあっという間に一年が経ち、監視されることもなくなった。

兄者のVIPでの階級は中佐、でも仕事内容は将官クラスのものばかり。
しかしラウンジにいたときも同じような内容をこなしていたため、特に苦はなく進んでいるように見えた。

そしてまた一年が経った、東暦801年。
桜の花が、咲き始めたころの事。

兄者は急に伊要に呼び出された。
部屋で一服していた彼は急いで煙草の火を消し、伊要の部屋へと向かった。

彼がついたころ、伊要は部屋の真中に一人で立っていた。
大将直々に、しかも一対一で、何を言われるんだろう。
少しの緊張が兄者を襲った。

伊要の口が開かれる、兄者の口は対照的に固く結ばれている。

(=゚ω゚)「実は……お前に鮫島陸軍の司令官をやってもらおうと思ってるんだよぅ」

鮫島とは、VIP領の小さな島である。
重要拠点らしいがその理由はわかっていない。
といっても知っているのが大将と、現地にいる兵だけだからである。

112 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:43:48.77 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「……俺なんかを行かせていいのかい? もっと有能なのはいるぜ?」

(=゚ω゚)「お前だからこそ行かせたいんだよぅ、まだ将校や兵の中にはお前を疑っているのがいるよぅ
     その疑いを俺は晴らしてやりたいんだよぅ、ようするにチャンスを与えてるんだよぅ」

兄者には伊要の言いたいことがよくわかる。
実際この二年間、彼の耳には陰口ばかり入ってきた。
彼自身別にどうでもよかったが、伊要にとってはそれが嫌だったらしい。

しかしなんで今鮫島に行かなければならないのか。
兄者にはそれが不思議だった。
そしてその好奇心を、抑えることはできずに
口に出してしまった。

( ´_ゝ`)「何で今鮫島に行く必要があるんだ? 何かあるのか?
       説明をkwskしてくれなくちゃ、俺は行かないぞ」

誰もが思う、当然の疑問。
佐官クラスなら尚更、説明が欲しくなる。
自分が指令する立場なのに「なんで戦ってるか」が不明だと、部下に示しがつかないからだ。

伊要はしばらく黙っていた。
しかし、諦めたかのように溜息をついたあとに口を開いた。

(=゚ω゚)「…………仕方ないよぅ、お前には特例で説明してやるよぅ」

それほどまでの機密なのか、兄者の額に薄ら汗が浮かぶ。

115 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:46:43.64 ID:FxaSeZxk0
(=゚ω゚)「実は…………鮫島には、様々な物があるんだよぅ。
     例えば……戦闘機の試作機とかだよぅ」

伊要の言葉を聞いた兄者の表情に変化があった。
予想GUYの発言に、眉間に皺を寄せ驚いた顔をしている。
それもその筈、実際驚嘆しているからだ。

(;´_ゝ`)「!? もう少しkwsk産業で頼む!」

(=゚ω゚)「……2年前にVIPとラウンジの間で空戦があったよぅ?
     VIPは惨敗、戦闘機の差がありすぎたよぅ。
     その反省を生かして、今現在ラウンジの戦闘機を上回る性能を持つやつを作ってるよぅ」

考えがまとまらないのか、伊要の口の動きが止まる。
数秒たって、また口を動かし始めた。

(=゚ω゚)「試作機の仮の名称は〔TA-46〕
     ラウンジの戦闘機なんか比べ物にならないぐらい速いよぅ。
     それでいて武装も申し分ないよぅ。
     でも実戦で使えるのはもうちょっとかかるみたいだよぅ」

それから……と小さな声で呟きまた兄者に説明を始めた伊要。
なにやら小難しい単語ばかりを出している。

(=゚ω゚)「……要するに、鮫島には石油採掘施設、それと兵器開発工場があるんだよぅ」

(;´_ゝ`)「なんと!」

小難しい単語を聞き流していた兄者は、結論を言われるまで、どういうことかわからなかったらしい。
そこで彼は初めて気付く。

119 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:49:05.33 ID:FxaSeZxk0
鮫島が何故重要視されているか。

鮫島で行っていることが何故機密になっているか。

ラウンジはきっと、「石油輸出禁止措置を取ったからもう兵器開発続行は難しいだろう」などと考えているのだろう。
その油断しきっている間に先ほどの〔TA-46〕や、一般兵器を大量に開発し、ラウンジを攻撃する。
きっとそんなことを考えているはずだ。


やっと兄者の頭の中で一区切りがついた。
彼は「自分は鮫島に行かなければならない」と心の中で悟った。

( ´_ゝ`)「……行くよ、鮫島に。お前の期待に応えるよ」

小さな声だが、はっきりと答えた。

(=゚ω゚)「行ってくれるかよぅ、実は人材も不足してて困ってたとこだよぅ。
     では、今やっている任務が終わり次第鮫島に向かうよぅ」

伊要はそういった後、部屋の机につき書類の処理をし始めた。
兄者は仕事中の男に一礼し、部屋を出る。

122 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:50:31.51 ID:FxaSeZxk0





( ´_ゝ`)「……これはまた一大事ですな」

誰にも聞こえないような声で呟き、足早に部屋へと向かった。
向かう先には、監視はもういない。
兄者のすることは只一つだった。

この情報を、弟者に伝える。
部屋につくと、鍵を閉め、誰もいないかを確認して、隠していた無線を取り出す。
このスリルがたまらない、兄者はそんな顔をしていた。

128 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:52:32.39 ID:FxaSeZxk0
(´<_` )「いっつおまいまーい、ってなんか電波来てんじゃね?」

ここはラウンジのある一室、機械類やアンテナが無造作に転がっている。
そのなかでもひときわ目立つ大きな機械、高さは弟者の倍、幅は5倍ぐらいあるものだ。
天井はガラス張りになっていて、空が見える。その機械から伸びるアンテナのようなものだけが天井を突き抜けていた。

(´<_` )「流石にラウンジとVIPじゃ遠すぎるからな、改良に改良を…………」

誰もいないのに解説を始める弟者。
独り言が癖らしい。

彼の言う通り、二国間は普通の無線では届かないであろう距離である。
そこで、兄者が信用を得るまでの期間を、弟者は自分の準備期間に当てていた。

向こうの電波が届かないなら拾えばいい、こちらの電波が届かないならとどかせればいい。
このような単純な思想から、一方の無線の改良を施していた。

その努力が報われたのか、電波は届いていた。

「……こちら……兄者……テストテスト……」

兄者の声が聞こえてくる、もう二年ぶりだ。
手紙もロクによこさなかったが、あの御人好しとうまくやっていたのだろう。
弟者はそう考えにやけていた。

131 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:53:53.31 ID:FxaSeZxk0
だがそのにやけ顔は次の一言で消えることとなった。

「……VIPは……ラウンジに戦争を……仕掛けようとしている……」

(´<_`;)「は!?」

仰天のあまり大声を上げる、部屋の外まで聞こえたらしく騒がしくなった。
何故、戦争を?

その疑問を頭から払拭しようと、躍起になるが無くならない。
何故だ、何故。

彼の頭は、戦争を仕掛けられるということで、いっぱいになってしまっていた。
そんな弟者の様子など知る由もない兄者は更に続ける。

「その原因である……石油採掘施設……兵器開発工場……新型戦闘機の開発……
これらは……すべて鮫島……で行われているらしい……通信を切るぞ……」

兄者は本当に、必要最低限の事しか言わなかった。
しかし、充分すぎる内容。

弟者が受けた衝撃はあまりにも大きかった。

(´<_`;)「……こりゃいつ攻撃されるかわからんね」

そう呟く彼の声には、軽い恐怖が混じっていた。


――――まだ、戦争を経験してない者特有の恐怖。

134 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:55:22.85 ID:FxaSeZxk0
兄者はその日から一日おきに、弟者にちょくちょく連絡を入れる。
初めに話した内容を、日を追うごとにkwsk話していく。
弟者は話を聞きながらメモを取り、紙上にわかりやすくまとめていった。

大方聞き終わった後彼は

(´<_` )「また何か変わったことがあったら、連絡頼む。定期報告はもう大丈夫だ」

と、兄者に伝えた。

そして将校を集会室に集め、緊急の会議を行った。
兄者から聞いた話を元に、VIPが何をしようとしてるかをまとめたレポート。

佐官、将官クラスになると、流石に疑っていた。
しかしその度に弟者は

(´<_` )「兄者中将が命懸けで伝えてくれた情報です、信用しないことは彼の働きを侮辱することになります」

とだけ言った。
しかしこの言葉には充分すぎる説得力があったらしく
弟者の発言を聞いた将校たちは、言葉も出なかった。

そして緊急で対策が始められた。
向こうでは、既に戦闘機などの開発が進められているとのこと。
だから、急襲に備えなくてはならない。

そして脅威は、急襲だけでもない。
もともとVIPは戦争を始める気なのだ。
兵器の調達、戦争に向けた兵士の訓練……などやることが山積みである。

137 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:56:49.15 ID:FxaSeZxk0





―――――――――――801年6月末

兄者はVIP本土での仕事を終えて、鮫島へと向かった。

彼がまず驚いたのは、自然情景の美しさ。
砂浜などは息を呑むほど美しく、呆気にとられた。

( ´_ゝ`)「ここが戦場となるのか……惜しいな……」

次についたのが、基地となる場所。

「新斗山」である。標高は……おっと、これは公式には秘密である。

地下には基地が建造されており、砲台なども装備されている。
これを見た兄者は

( ´_ゝ`)「さながらア・バオア・クーの如し」

と絶賛したそうな。

145 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 21:59:13.84 ID:FxaSeZxk0
その後、彼は自分に割り当てられた部屋に入った。
今日は疲れた、との事で鮫島をまわるのはまた今度にするそうだ。

( ´_ゝ`)「しかし……本当に重要拠点らしいな……」

机に着き、基地の設計図を眺めた。凄く厳重な守りがしかれている。
やはり、石油と戦闘機開発は大事なのだろうか……。
彼はそんな疑問を浮かべていた。

すると、突然部屋にノック音が響き渡る。
足音は結構ある、一人じゃないらしい。
不審に思いながら、彼は「どうぞ」と言った。

4人、入ってきた。
身長から容姿、体系と似通ったものが一人もいない。
それほどアクが強い連中なのだろうか、少し彼は期待をした。

154 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:02:11.75 ID:FxaSeZxk0
〔´_y`〕「こんにちは、鮫島の兵の司令をやらせてもらってた者です」

一番見かけが地味な男が、初めに喋る。
こいつは、なにか惹きつけられる。そう思った兄者だった。

| `゚ -゚|「貴方が陸軍司令官、ということをお聞きして一言挨拶を、と思い此処に来た所存です」

丁寧な言葉遣いで、一番整った顔、一番高身長の男が口を開いた。
美男子の中の美男子とでも言おうか、かなり綺麗な顔をしている。

《 ´_‥`》「……宜しくお願いします」

身長も低く、若干肥えている、とろそうでパワーのありそうな男が次に喋った。
しかし…………不細工な奴だ。

(ゝ○_○)「陸軍には関係ないですが、研究所を代表して一言挨拶に来ました」

眼鏡をかけ、爽やかな声、爽やかな容姿を持っている男が最後の挨拶を済ませた。
しかしこの男、何か違和感を感じる……腹の内に何か潜ませてそうな男だ、兄者は直感でそう感じ取った。

( ´_ゝ`)「わざわざ悪いな、ではまず二つ、君たちに質問をしよう。
       まず一つ目、名前はなんだ?」

4人はしまった、というような顔をして、慌てて答えた。

171 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:09:07.21 ID:FxaSeZxk0
すいません、一部抜けてしまいました

>>154>>159の間に下のを挟んで読んでもらえると助かります




4人はしまった、というような顔をして、慌てて答えた。

〔;´_y`〕「失礼しました……自分はガシューといいます」

|;`゚ -゚|「とんだご無礼を、自分はフィルと申します」

《;´_‥`》「…………僕はドラルといいます」

(;ゝ○_○)「すいません、私はリレントです」

159 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:03:45.96 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「よしよし、では二つ目いこうか。
       君たちは今のVIPに不満、文句などがあるか?
       あるならば言え、強制だ」

これぞ職権乱用といわんばかりに、兄者は語気を強めた。
しかし、それに怯まずに一番最初に答えたのはリレントだ。

(ゝ○_○)「戦闘機の開発、石油採掘施設の開発など、やってることに意義があるとは思えません
      戦闘機に至っては、仕返しにしか思えません。そんな低脳な国にはいたくありません」

( ´_ゝ`)「ほう……それは意外だな、他に意見のあるものは?」

その質問に、今度はガシューが答えた。

〔´_y`〕「……リレント少佐と同じ意見です、ファシズムにはどうも賛同できません」

ガシューが言い終わると同時に、今度はフィルが手を上げる。

| `゚ -゚|「正直、戦争はいいですがこの国に従う気になれません。
      ガシュー少佐と同じく、天皇の言い成りになるのだけは、自分の心が許しません」    

《 ´_‥`》「同意」

不意に、ドラルも短く意見を言った。

( ´_ゝ`)「そうかそうか……ではお前ら、正直に言え。
       この国を抜け、ラウンジに亡命しても俺は何も言わん。
       ……………………と言ったらどうする?」

163 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:05:02.38 ID:FxaSeZxk0
兄者はまた、4人の不意を突く。
今度は、フィルが初めに口を開いた。

| `゚ -゚|「……私たちを試しているのですか?」

兄者は、はべらかすかのように腕を軽く振ってみせる。

( ´_ゝ`)「さぁな、正直に答えろと言ったはずだ」

ガシューが少し頷き、口を開いた。

〔´_y`〕「お咎めが無いなら……自分は抜けたいです」

| `゚ -゚|「同意する」

《 ´_‥`》「同意」

フィルとドラルも同意してくる。

(ゝ○_○)「ええ、抜けられるものならさっさと抜けたいですね」

そしてリレントは「抜けたい」ということを強調してきた。

169 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:07:02.95 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「よし、俺はお前らを信じるぞ、誰にも言うなよ?
       あ、ママさんだけには特別に許すがな」

〔;´_y`〕「一体なんですか……?」

ガシューが不安げに尋ねた、
すると兄者は、当たり前の事であるかのように答える。

( ´_ゝ`)「いやーね、俺ラウンジからのスパイなんだよね」

(;ゝ○_○);`゚ -゚|;´_‥`》;´_y`〕「なんと!?」

こればっかりは、流石に4人同時に反応してきた。
無理もない、司令官がスパイなのだ。

( ´_ゝ`)「不満を持ってる君たちならさ、自分の利益の為に黙っててくれると思ったんだよね。
       鮫島戦が終わったら、お前らをラウンジ軍に加入して貰う。
       ……その代わり、鮫島戦では俺の手足となって動いてもらう、悪い条件じゃないだろ?」

4人は揃って黙ってしまった。
彼らはVIPで生まれ育ったわけでもない為、愛国心はそれほどない。
だが、未だに兄者の事を疑っていた為、本音を打ち明けていいか悩んでいた。

その沈黙を破ったのは、意外にもドラルだ。

《 ´_‥`》「……僕は中佐を信じます。ですから鮫島戦が終わったら、ラウンジ軍へ加入させてください」

何を考えているかわからないような男だが、これは本音だろう。
兄者はそう思って頷く。

174 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:11:23.24 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「把握した、他の三人はどうする? でも、俺を信じるも信じないもお前らの自由だ」

(ゝ○_○)「……私は、もう少し考えさせてください」

リレントは疑い深い男だと、伊要は言っていた。
全く持ってその通りだ、疑い奴ほど扱いにくい者はないな。
兄者はそう、心の中で呟く。

彼が、残りの2人を順々に見ていった。
彼の目と、フィルの目が合う。
素直な目をしている、彼はそう感じた。

すると、目が合うのを待っていたかのように、フィルが口を開く。

| `゚ -゚|「少し不安要素もあるのですが、自分は中佐について行きたいと思います」       

( ´_ゝ`)「良い心構えだ。それで、あとの二人はどうする?」

そう言って、彼は始めにガシューを見て、次にリレントを見る。

するとガシューは、唐突に口を開いた。

〔´_y`〕「………………中佐の意見を信じます」

はっきりした声のように聞こえるが、弱気な雰囲気が少し宿っている。
こういう男なのだろう、兄者はそう感じた。

180 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:13:26.03 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「わかった、残るはリレントとなる訳だが……どうする」

彼は少し厳しめに、リレントに問いかける。

リレントは、やはり怯むことなく答えた。

(ゝ○_○)「三人が同意するなら、私も同意するほかないでしょう」

( ´_ゝ`)「……そんなんでいいのか?」

(ゝ○_○)「まあ、それもありますが。一応信用するという形を、とらせていただきます」

( ´_ゝ`)「その言い方が気に食わないな……まあいいか。
       では今からお前ら全員俺の配下だ。早速役割を決めるぞ。
       では…………戦闘の得意な奴、手を上げろ」

そう兄者に言われ、二人が手を上げた。
フィルとドラルだ。
ある程度兄者の予想通りだったが、

| `゚ -゚|「私は、軍を率いて戦うならば、この中で一番優れていると思っております」

フィルが此処まで主張してくる事は予想GUY。
それに対して、ドラルが何も意見や不満を言わなかったのが救いであろう。
もともと、この4人は仲が悪いという噂を聞いていた。

あくまで、初めての上官の前ということで、険悪な雰囲気を出さないようにしているのだろう。
しかし、兄者にとって今そんな事は、お子様ランチの旗ぐらいの意味しか為さない。
命令を聞いて、任務が成功すれば良いだけの話、彼らの不仲など二の次三の次であった。

183 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:15:23.90 ID:FxaSeZxk0
( ´_ゝ`)「ではお前らには陸軍の司令を任せる、ガシューは俺の側近だ。
       リレントは研究所で不穏な空気が流れてたら俺に伝えろ。
       今は、ガシュー以外は普段通りの仕事をこなせ。では解散、ガシューは残れ」

兄者が言い終わると、3人はさっさと立ち去ってしまった。
フィルだけは、後ろを軽く振り向き会釈した、それに手で応対する兄者。

そしてすぐ、兄者は視線をガシューに戻す。
時刻はもうすっかり夕方、机に着いている彼の背後からは、夕陽が差していた。
その光を背に受け、彼は不気味な雰囲気を醸し出している。

( ´_ゝ`)「お前は諜報係だ、一日に何回かこの部屋に呼び出すので
       その時言われた任務をこなしてもらう。わかったな? わかれば行っていいぞ」

〔´_y`〕「了解致しました」

そう言って、ガシューは軽く一礼をし、部屋を出た。

誰もいなくなった部屋で、一人兄者はたそがれ始める。


( ´_ゝ`)(優秀そうな部下、地位、そして後ろ盾も手に入れた。
       問題は……戦争の始まる時期かな、奴を殺せなくなる……)

数十秒経つと、兄者の手は本能的に煙草を持っていた。
無心で火をつけ、銜える。
やはりVIPの煙草はまずい、改めてそう思う。

灰皿に思いっきり打ち付ける、何に対する苛立ちかは、まだ誰にもわからない。

186 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:17:12.68 ID:FxaSeZxk0

7月7日

ガシューが慌しく、兄者の部屋に駆け込んできた。
どうやら、緊急事態が起こったらしい。

〔;´_y`〕「中佐! ラウンジ軍の大艦隊が攻めて来ました!」

( ´_ゝ`)「そうか。しかし残念ながら、海戦は俺の指揮範囲外だ。
       大人しく傍観していろ、陸に上がってからが勝負だ」

〔;´_y`〕「了解しました! フィル少佐達には、何か連絡を入れておく必要はありますか?」

( ´_ゝ`)「いつ戦闘になるかわからない、これだけ伝えておけ。あとはあいつ等自身の判断で行動させろ」

〔;´_y`〕「了解、では失礼します」

来たときと同じように、ガシューは急いで部屋から出て行った。
勿論、一礼だけは忘れていない。


誰もいなくなったことを確認し、兄者は呟く。


( ´_ゝ`)「弟者…………痺れを切らしたか?」

時期は梅雨だというのに、その日の鮫島は晴天だった。




188 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:18:56.95 ID:FxaSeZxk0

6月末、ラウンジ軍

(´<_`;)「え!? まさかこちらから攻撃を!?」

(`Д´)「そうだ、VIPは奇襲してくる可能性もあるからな。
     被害を出す前に、だ」

(´<_`;)「しかし……もし戦争の意思がないとしたら……」

(`Д´)「そんなもの『VIPが戦闘意欲を見せたから』とでも言えば通じるわ」

(´<_`;)「だけど………………………………」

(`Д´)「しつこい! さっさと出て行け!」

そうして、弟者は締め出された。
彼が話していたのは、ラウンジ軍陸軍大将。
どうやら、陸海空の3大将はVIPに戦争を仕掛けることに、合意したらしい。

191 名前:( ´_ゝ`) ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:20:00.42 ID:FxaSeZxk0
(´<_` )(これでは……まずい、兄者に伝えなければならないが、連絡が……)

一刻も早く、彼は兄者に伝えようとした、
しかし、兄者からの連絡が無い限りは、此方から入れるとまずい。
だから、VIP軍はこの事態を予測できなかった。

そして7月の初め、ラウンジ軍は大艦隊でVIPに向かって行った。
順調に進めば、7月7日にはつけるとの事だ。

何もかもを知っていながら、何も出来ない弟者は悔しさに打ちひしがれた。
ただ彼に出来ることといえば、

(´<_` )(兄者……無事でいてくれよ……)

実の兄の無事を、祈ることだけだった。

194 名前: ◆PORNOqm4Ug :2007/08/27(月) 22:21:10.78 ID:FxaSeZxk0
今日の自分の分はこれで終わりです、続きはまた後日。
たくさんの支援ありがとうございました。引き続き戦争合作をお楽しみください

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