9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:41:35.66 ID:A0eAmYtX0

Girl meets angel


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:42:09.42 ID:A0eAmYtX0
ξ;;)ξ「うわああぁあああああああん」

ξ;;)ξ「ひ、ひぐっ…… ぐすっ…」

ξ;听)ξ「…」

ξ;;)ξ「うわぁああぁぁあああああん!!」

( ・∀|壁 「…ねむれねーよ。姉貴」

ξ;听)ξ「うるさい! マスかいたらさっさと寝ろバカガキ!」

ξ;听)ξ「…」

ξ゚听)ξ「……はぁ」

ξ;听)ξ「どうしてこの世界はこんなに哀しくて切なくて美しくて汚くて
 メランコリーでボサノヴァで下劣で優美で…で…で endless」

ξ;;)ξ「頭が痛いッ! まるで頭ん中でミントスコーラがハジケるようだわ!」

ξ;听)ξ「ううっ……」




ξ;听)ξ「死のう」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:43:56.43 ID:A0eAmYtX0

女の子という生き物は、大きな理由もないのによく夜中に泣きます。
彼女たちは日々中身のない恋愛論や幸福論に振り回されているのです。


田んぼに囲まれた新興住宅地。
草木もパパもママも恋人たちも眠る丑三つどき。
四丁目の三番地、オレンジの屋根が洒落てる大きなおうち。
二階の西の部屋はまだ明かりを点けていた。


街灯のあかりへ吸い寄せられる虫のように、
或る来訪者がツンの部屋の分厚い窓をするり通り抜けた。



('A`)(女の子の部屋のくせにきたねーなー)

('A`)(雑誌とレコードで床の色がわからない)


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:46:56.23 ID:A0eAmYtX0
少女はカッターを手首に当てつけた。 手が、震える。


ξ;゚听)ξ「…やっぱり、まだやめーた」

ξ゚听)ξ「あ、そうだわ! 忘れてた!」

少女は死ぬ前に一度苦いブラックを飲んでみたかった。
だから握っていたカッターを一先ず机に置いて、月夜のたそがれ。
来訪者には気付いていない。


('A`)(なんかケーハクそうな女だなー)

('A`)(この仕事は結構簡単かもしれん)

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:49:00.17 ID:A0eAmYtX0
ξ゚听)ξ「…ふぅ。苦い苦いコーヒーが何故かおいしい夜……」

ξ゚听)ξ「ああ、この漆黒に私の憂鬱も溶けてしまえばいいのに」

ξ;听)ξ「…ぐすっ」

少女は再びカッターを握る。

ξ;;)ξ「グッバイ世界」

\('A`)/「ハローお嬢サン」

ξ゚听)ξ「!?」

少女は咄嗟にカップの中の液体を男の顔面にぶちまけた。

(;'A`)「GYAAAAAA!!!!」

(;'A`)「あつい!! 熱いっっ!!」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:51:18.54 ID:A0eAmYtX0
ξ;゚听)ξ「だだだ 誰よアンタ!」



男はワイシャツについたシミを気にしていた。
少女は頭上の黄色いわっかに気がついた。



('A`)「その答えは何か拭くものをくれたら答える」

ξ゚听)ξ「…」

ξ゚听)ξ「あなた、天使さん?」

('A`)「…」

(#'A`)「何か、拭くものを」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:52:44.62 ID:A0eAmYtX0
************


ξ゚听)ξポカーン

('A`)「…まったく最近は命を大切にしないやつが多すぎる」

('A`)「おまえは南京大虐殺の光景を見たか? ヒロシマは? 万里の長城の建設現場は?」

('A`)y-「…あ、この部屋、たばこいいかい?」

ξ゚听)ξ(何言ってんのかしらこの人…
      頭イッてんのかしら…)

少女は塞がらない開いた口を上手く使って呟いた。

ξ゚听)ξ「ダメっ」

(#'A`)「んーっ」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:55:03.33 ID:A0eAmYtX0
ξ゚听)ξ「それで天使さん、こんな遅くに何のご用よ」

('A`)「君、自殺しようとしてただろう。俺、それを止めにきた」

ξ##゚听)ξ「じ、自殺なんかするわけないでしょ。 
      自殺なんてもんはねえ、逃避なのよ! 逃避! 自分の弱さから逃げまくった挙句の…」

(A` )「なぁんだ。じゃあ帰るわ」

立ち上がる天使。咄嗟に少女はズボンの裾を掴んだ。

(A` )「ぬっ」

ξ;;)ξ「待って… アタシ、退屈なの。そいで、独りぼっちなの
      夜が明けるまでお話しましょうよ。おいしいお菓子もありますよ」

(A`#)「……」


これだから下界の人間は困る。特にこういう女の子。
いやしかし、こういうねちゃねちゃした部分が生ける魂の特徴というか… ね。
などと思いつつ天使は再びソファーに腰を下ろした。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:57:45.12 ID:A0eAmYtX0
************

ξ*゚听)ξ「そいでねぇー! この前見た夢の通りにねー! 青い首輪をつけたクロネコがー!」

('A`)「うん、うん…」

ξ*゚听)ξ「あ、コーヒーおかわりいるう???」

('A`)「う、うん」

ガチャガチャガチャ ジョバー ポイッポイッ シュパパッ

ξ*゚听)ξ「どうぞ」

('A`)ゴクッ

(;'A`)(甘めえぇえええええ!!! 砂糖いくつ入れてんだよおお!)

ξ*゚听)ξ「話し変わるけどねー! クラスの佐藤さんって子がねー!」

('A`)「ん?」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 20:59:55.95 ID:A0eAmYtX0
('A`)「それはこの町の佐藤さん?」

ξ゚听)ξ「うん! 2年3組18番の私のだぁいすきな佐藤さん」

('A`)「その子は3日前に死んだよ」

ξ゚听)ξ「…」

ξ )ξ     ゚ ゚

('A`)「”死相センサー”の調子が悪くて、駆けつけるのが遅れてしまった」

('A`)「首吊りだった。机の上に赤いダイアリがあったから読んでみた」

('A`)「クラスメイトと思われる名前が、幾多もの呪いの言葉と共に書き綴られてあったよ」

ξ゚听)ξ「…」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:01:09.75 ID:A0eAmYtX0






ξ;听)ξ「…」

ξ;;)ξ「うわあぁあああああああああああああん!!!!!!!!!!!!」






27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:04:57.44 ID:A0eAmYtX0
ξ;;)ξ「うっ、うっ… 佐藤さん。二週間も学校休んで」

ξ;;)ξ「好きなバンドのおっかけでもやってるのかしらと思えば」

ξ;;)ξ「首吊っておしっこうんこ垂れ流しだなんて!!!!!!!!!!!」

ξ;;)ξ「辛い!! 辛すぎるわ!!! 世の中アンビリーバボゥよ!!!」

ξ;;)ξ「死のう!! 今あいにいくよ! 佐藤ちゃん!」

('A`)「!」

('A`)(死相センサーが感知したのはこっちだったか!)

(;'A`)つ「死んじゃダメパーーーーンチ!!!!!!!!!!!!」

ズガッ!

ξ#゚;)ξ「ギャーーーーー!!!! 殴った! 殴ったわね!
      ママにもパパにもセンコーにも殴られたことあるけど!」

(;'A`)「痛いかー! 痛いだろうー! それが生きてる証だー!
    生きてれば、痛いこともあるけど、気持ちよかったり、あったかくなるときもあるんだぜー!(棒読み)」

(;'A`)「だから! その一瞬のために生きろぉおお!!(激しく棒読み)」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:09:21.23 ID:A0eAmYtX0
ξ;听)ξ「……」

ξ;听)ξ「そうだ、ね」

('A`)(よし。今月のノルマなんとか達成)


もうすぐ夜が終わろうとしていた。
夜空には少しずつ藍色の絵の具が足されていく。
煙草のけむりを燻らしながら天使が言った。




('A`)「最近はなぁ… こっちも大変なんだ」

('A`)「不条理な理由で死んで、雲の上でおろおろする魂が多くて、さ」

('A`)「君の友達もその一人だったようだ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:12:02.51 ID:A0eAmYtX0
('A`)y-「あの世の人口も限りがあるし… 数十年前から委員会が組まれたんだ」

('A`)y-「君達が見えないところでふとした”奇跡”ってやつを起こし、下界の人間の救済を…」

ξ゚听)ξ「なら、どうしてアタシにはあなたが見えるの?」

('A`)y-「ん。あんたはメンヘラだから。俺の存在を素直に認めてくれるだr」

ξ##゚听)ξ「あたしメンヘラじゃないもん!!!!!!!!!!!!!!!」

('A`)y-「…」

ξ;;)ξ「頭ん中、花畑って言いたいの? たしかにいつでも綺麗な花が咲き誇ってるけどさあ!
     その真ん中にポツンと座ってる女の子は死んだ魚の目をしてんのよっ!!!!!」

ξ;听)ξ「…」

('A`)y-「…」




ξ )ξ「たばこ、ダメって言ったでしょ」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:16:25.61 ID:A0eAmYtX0
('A`)「…でも大丈夫。 君の中の少女は瞳に光を取り戻し、
    じきに花畑から抜け出していくさ」

ξ゚听)ξ「…そうかな」

('A`)「ああ。”死んじゃダメパンチ”をくらったからね」

ξ )ξ「…ふんだ」




そのあと、少女は天使と色んな話をした。
少女はただの少女となり、少女のような笑顔で天使にキスをする。
天使は顔を赤らめながら、数千年生きてきた思い出話を身振り手振りを交えて語るのだった。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:21:34.46 ID:A0eAmYtX0
時が過ぎる。

おしゃべりに一段落ついた少女は朝を迎える町を見た。
漆黒は、深い青へ。深い青は、浅い青へ。 青の絵の具がどんどんと足されていって。
小鳥はちゅんちゅん 猫はにゃーにゃー 新聞屋さんおはようございます。






少女は今この瞬間が一番世界で美しいと思った。
そして、「なんとなくまた生きてみるか」と心の中で呟いた。






振り返ってみたら、天使はいなかった。


少女は眠ることにした。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:22:54.33 ID:A0eAmYtX0
**********


ξ゚听)ξ「あーねみぃーー」

「ねえ!! 知ってるツン? 佐藤さんが自殺したって話し…」

ξ゚听)ξ「…」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

('A`)「あ、そういえばなあ」

ξ゚听)ξ「?」

('A`)「さっきの佐藤さんの話だけどさ」

ξ゚听)ξ「やめてよ…」

('A`)「いや、これは話しておかなくちゃ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/19(金) 21:23:36.95 ID:A0eAmYtX0






日記の最後に、君の名前があった。

他のクラスメイトはひたすら呪い殺されてあったのに、君だけきらきらのピンクだ。

その下に何が書かれていたと思う?


「ありがとう」 だってさ







(end)


トップへ/God of exam

inserted by FC2 system