66ξ゚听)ξ環状線のようです(^ω^ ) 1/5 ◆VjPks8svQ.:2010/03/09(火) 22:03:19

ぐるぐる回る君の心。

ぐるぐる回る僕の心。

僕らの心は回り廻る。

同じ輪の中を、違う輪を描き回る。


君が止まれば僕は進む。
僕が止まれば君は進む


君が追えば僕は逃げる。
僕が追えば君は逃げる。


向き合えばすれ違う。


決してぶつかる事はない。



僕らの心は環状線。

67ξ゚听)ξ環状線のようです(^ω^ )2/5 ◆VjPks8svQ.:2010/03/09(火) 22:03:53
( ^ω^)「……」

電車の先頭車両、運転席後部の窓から敷き詰められた線路が見える。
敷かれたレールの上を、決められた道を、電車は澱みなく走り進む。

( ^ω^)「……」

それを自分の姿に置き換えるというありがちな考えが僕の中に浮かぶ。
道を外れずに走れるだけマシだという思いも同時に浮かぶ。

心の中で、いつもと同じ問答が繰り返される。
僕は僕の今に満足しているのだろうか。

不満はあれど外れる勇気はない。
それが多分答えだから、渋々ながら満足してると答え、敷かれた線路の上を外れないように走るのだろう。

( ^ω^)「……」

僕は向きを変え、車両の側面の窓から外を覗く。
流れ行く景色は見慣れたもので、そこに何の感慨も抱かない。

本当は少しずつ変わって、違う景色になって行くのだが、この場所にいる限り、僕は変わってないと答えてしまうのだろう。
些細な変化がもたらすものは何もないから。

少しぐらい周りの景色が変わっても、僕が乗る電車は同じで、僕が走る道は同じなのだ。

同じ道を走ることで先に進めるのなら、それは楽な道なのだ。

68ξ゚听)ξ環状線のようです(^ω^ ) 3/5 ◆VjPks8svQ.:2010/03/09(火) 22:04:35
ξ゚听)ξ「……」

駅のホーム、電車を待つ列の先頭、足元を見れば敷き詰められた線路が見える。
敷かれたレールの上を、決められた道を、電車は澱みなく走り来る。

ξ゚听)ξ「……」

それを自分の姿に置き換えるというありがちな考えが私の中に浮かぶ。
道を外れずに走れるだけマシだという思いも同時に浮かぶ。

心の中で、いつもと同じ問答が繰り返される。
私は私の今に満足しているのだろうか。

不満はあれど外れる勇気はない。
それが多分答えだから、渋々ながら満足してると答え、敷かれた線路の上を外れないように走るのだろう。

ξ゚听)ξ「……」

私は向きを変え、電車が来る方向へ視線を向ける。
眼前に広がる景色は見慣れたもので、そこに何の感慨も抱かない。

本当は少しずつ変わって、違う景色になって行くのだが、この場所にいる限り、私は変わってないと答えてしまうのだろう。
些細な変化がもたらすものは何もないから。

少しぐらい周りの景色が変わっても、私が乗る電車は同じで、私が走る道は同じなのだ。

同じ道を走ることで先に進めるのなら、それは楽な道なのだ。

69ξ゚听)ξ環状線のようです(^ω^ ) 4/5 ◆VjPks8svQ.:2010/03/09(火) 22:05:05
( ^ω^)「……」

いつからだろう、心を押し殺す事に決めたのは。

同じ事を繰り返し、平坦になっていく毎日に沿うように、僕の心はまっすぐな線を描く。
凪いだ風、穏やかな水面。
僕の日々は平穏で、約束された未来に繋がる。

( ^ω^)「……」

だから僕は張り付いた笑顔で、いつも楽しそうに生きる。
そうすることで、僕は僕を保つのだ。

道から外れないように、不安に潰されないように。

ξ゚听)ξ「……」

いつからだろう、心を押し殺す事に決めたのは。

同じ事を繰り返し、平坦になっていく毎日に沿うように、私の心はまっすぐな線を描く。
凪いだ風、穏やかな水面。
私の日々は平穏で、約束された未来に繋がる。

ξ゚听)ξ「……」

だから私はしかめっ面で、いつも不機嫌そうに生きる。
そうすることで、私は私を保つのだ。

道から外れないように、不安に潰されないように。

70ξ゚听)ξ環状線のようです(^ω^ ) 5/5 ◆VjPks8svQ.:2010/03/09(火) 22:05:31
やがて電車は駅に止まる。

( ^ω^)「……」

僕はいつもの電車から降りる。

ξ゚听)ξ「……」

私はいつもの電車に乗る。

変わらない、いつもの作業を繰り返す為に。
決してぶつかる事のない、見知った知らない誰かとすれ違いながら。

( ^ω^)「……」

いつもすれ違うあの人は、どうしていつも不機嫌そうなのか。

ξ゚听)ξ「……」

いつもすれ違うあの人は、どうしていつも楽しそうなのか。

僕には答えがわからない。
私には答えがわからない。

(^ω^ )ξ゚听)ξ

ぐるぐる回る環状線。
きっと明日もすれ違う。

 − 終 −


トップへ

inserted by FC2 system